2024年1月から6月期における中国の不動産開発会社の中間決算は、業界の深刻な現状を浮き彫りにしました。調査対象となった158社のうち、約56%にあたる88社が赤字を計上し、不動産不況による新築販売の低迷がその主な要因となっています。総売上高は前年同期比で15%減少し、業界全体が苦境に立たされています。
集計対象となったのは、中国本土および香港に上場する不動産開発会社です。ただし、中国恒大集団や碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)を含む15社は、決算発表期限である2024年8月31日までに中間決算を開示しておらず、今回の集計には含まれていません。それでも、全体の最終赤字額は合計で643億元(約1兆3000億円)にのぼり、前年同期の131億元から大幅に赤字幅が拡大しています。
特に目立つのは、資金調達力で劣る民営企業の苦境です。中でも世茂集団控股(シーマオ・グループ)は、227億元もの赤字を記録し、前年同期の121億元からさらに悪化しました。同社は2022年7月、約1500億円規模の米ドル建て債務を返済できず、デフォルト(債務不履行)に陥っています。経営陣は「不動産市場の調整が続き、販売不振の改善が見えていない」と述べており、依然として厳しい状況が続いていることを明らかにしました。
融創中国控股も150億元の赤字を計上しており、不動産開発だけでなくリゾートや映画事業といった多角経営を展開する同社も、苦境から抜け出せていません。一方で、明るいニュースもあります。中国奥園集団は223億元の黒字を計上し、前年同期の29億元の赤字から黒字転換を果たしました。同社は期中に外貨建て債務の再編を成功させ、その再編益が会計上の利益を押し上げた形です。しかしながら、売上高は前年同期比で57%減少しており、依然として市場全体の不振が影響を及ぼしています。
このように、不動産業界では明暗が大きく分かれていますが、全体としては厳しい状況にあることが否めません。SNSでは、「中国不動産バブルの崩壊が現実に」「恒大集団だけでなく、他の大手も影響を受けている」といった懸念の声が広がっています。一方で、「奥園集団の黒字転換は好材料」といった前向きなコメントも見られ、希望の光を見出す人々もいます。
このような業界の動向は、中国経済全体に大きな影響を与えるだけでなく、世界経済にも波及する可能性があります。不動産市場の回復が見られるか、それともさらなる苦境に陥るのか、今後の展開に注目が集まるでしょう。