2024年9月現在、ウクライナ軍による無人機(ドローン)攻撃がロシア国内の製油所やエネルギー施設に深刻な打撃を与えています。9月1日未明には首都モスクワとその郊外が標的となり、市南東部の製油所では火災が発生しました。この攻撃により、生産量が半減する製油所も出ており、ロシアの戦時経済を支える石油製品の供給に影響を及ぼしています。
タス通信によると、ウクライナ軍はこの日、モスクワ周辺に少なくとも11機の無人機を送り込みました。その一部は撃墜されましたが、破片が製油所に落下し火災を引き起こしました。また、発電所にも攻撃が行われており、モスクワ近郊のエネルギー施設への攻撃としては過去最大規模とみられています。
ウクライナ軍はロシアの継戦能力を低下させることを狙い、製油所や発電所への攻撃を強化しています。例えば、8月26日にはロシア最大規模の製油所がある中部オムスク州で爆発が発生し、政府系エネルギー企業ガスプロムネフチが一部施設を閉鎖しました。また、西部リャザン州では国営石油大手ロスネフチが運営する製油所が攻撃を受け、8月の石油製品生産量が半分以下にまで落ち込んだとされています。
ウクライナ軍の攻撃は今年に入ってからロシア国内および占領地域の石油精製施設を60回以上も標的にしており、その影響は軽油生産量にも現れています。ロイター通信の報告では、2024年8月のロシアの軽油生産量は前月比で7.5%減の710万トンにとどまり、約60万トンの生産能力が失われた可能性があるとの試算もあります。
さらに、ロシア連邦統計局は8月28日に発表した1月から7月の工業生産報告で、石油製品に関する統計の公表を停止しました。生産量の減少が国内世論に悪影響を与えることを懸念し、政府が情報公開を制限した可能性があります。統計局は公表停止の理由について「政府の決定」と説明しましたが、これが問題をさらに複雑化させています。
SNSでは、「ウクライナの反撃がロシア経済を直撃している」「石油生産が落ち込めばロシアの戦時体制も揺らぐはずだ」といった意見が多く見られます。一方で、「ロシアが統計を隠すことで、実際の被害規模が分かりづらくなっている」という懸念の声も広がっています。
ウクライナによる攻撃の影響は、ロシアの石油生産のみならず、その経済基盤を揺るがしかねません。この状況が今後どのように展開し、戦争全体の行方に影響を与えるのか、注視する必要があるでしょう。