トルコ経済、成長鈍化とインフレ対策の影響が鮮明に:2024年第2四半期のGDP発表

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トルコ統計局が2024年9月2日に発表したデータによると、同年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比で2.5%増加しました。しかし、この数字は前期(1~3月期)の5.3%増から大きく減速しており、ロイター通信がまとめた市場予想の3.2%増も下回る結果となりました。この成長鈍化は、中央銀行による引き締め政策やインフレの影響を反映しています。

GDPの約7割を占める家計消費は1.6%の伸びにとどまり、1~3月期の6.8%増から大幅に減速しました。専門家の間では、これまで高インフレと通貨安の影響で現金の価値が目減りする前に消費を急ぐ傾向が強かったものの、その勢いが弱まりつつあるとの見方が広がっています。一方で、政府支出はわずか0.7%の増加にとどまり、経済の支えとなるには至りませんでした。

産業別では、製造業が2.9%のマイナス成長と落ち込む一方、建設業は6.5%の成長を記録しました。この結果は、建設業が依然として国内経済を支える重要な要素であることを示していますが、他の主要産業が振るわない中では全体的な景気回復には限界があるといえます。

インフレ対策として、トルコ中央銀行は2023年5月の大統領選以降、政策金利を年50%に引き上げるなど、引き締め政策を進めています。インフレ率はピーク時の7割超(5月)から現在の6割程度に低下しているものの、その水準は依然として高い状態です。トルコのシムシェキ財務相は9月2日にSNS(旧ツイッター)で「成長は安定しつつあり、経常赤字も縮小している」とし、インフレの抑制局面に入ったとの見解を示しました。

しかし、懸念も依然として残ります。インフレ下で実施された過去の利下げは、エルドアン大統領が景気を良好に見せるために中央銀行に圧力をかけた結果であり、その政策がさらなる物価高を招いた経緯があります。今後、景気が後退局面に入る中で、引き締め政策を継続できるのか不透明感が漂っています。

SNS上では、「トルコの引き締め政策がどこまで効果を発揮するのか」「GDP成長鈍化が国民生活にどのような影響を与えるのか」といった議論が活発化しています。一方で、「建設業の成長が経済の救い」と期待を寄せる意見も見られます。

トルコ経済は、インフレ対策と成長のバランスをどう取るかという課題に直面しています。エルドアン政権が引き締め政策を維持しつつ景気後退を防ぐ具体策を打ち出せるかどうか、今後の動向に注目が集まります。

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