トルコ大統領府投資局のブラク・ダールオール総裁は、2028年までに世界全体の直接投資の1.5%をトルコに誘致する目標を掲げました。現在、この比率は1%未満にとどまっており、外資マネーを引き込むことで経済成長を加速させたい考えです。
重点分野として挙げられたのは、半導体を含むハイテク産業や再生可能エネルギー分野です。2024年7月には、中国の電気自動車(EV)大手「比亜迪(BYD)」が10億ドル(約1460億円)を投資し、年15万台を生産する工場をトルコに建設すると発表しました。このような大型プロジェクトを通じて、トルコは投資誘致の基盤をさらに強化していく考えです。
ダールオール氏は、「日本をはじめとするアジアからの投資を増やしたい」と述べ、これまで欧州企業に偏重してきた投資構造の多様化を目指す方針を明らかにしました。過去10年間におけるトルコへの直接投資のうち、アジア諸国(湾岸諸国を除く)からの割合はわずか2割にとどまっており、地域的なバランスを改善する必要性が浮き彫りになっています。
トルコ政府は2024年7月、新産業育成を目指し、助成金やインフラ支援に300億ドルを投入する計画を発表しました。ダールオール氏は、この直接投資誘致計画のうち半分程度が海外企業からの投資になるとの期待を寄せています。
国連貿易開発会議(UNCTAD)のデータによると、2023年にトルコが誘致した直接投資額は104億ドルで、これは世界全体の0.8%に過ぎません。そのうちの3割以上が不動産分野に集中しており、雇用創出や産業成長に直接寄与する投資が不足している状況です。この点について、ダールオール氏は「質の高い直接投資を呼び込み、雇用の拡大と産業発展につなげる必要がある」と強調しました。
SNSでは、「BYDのトルコ進出はトルコ経済にとって追い風」「アジアからの投資拡大がトルコの未来を変えるかもしれない」といったポジティブな反応が多く見られています。一方で、「現状の投資誘致では不動産が中心で、産業構造の変革が必要」といった課題を指摘する声もあります。
トルコが世界の投資家をどれだけ魅了できるかは、政府の政策実行力とハイテクやエネルギー分野の基盤整備にかかっています。2028年に向けた挑戦がどのように実現されるのか、その進展に注目が集まります。