日本を代表する巨大企業、日立製作所が2019年07月29日に発表した2019年4-6月期の連結決算は、市場関係者の間に緊張を走らせる内容となりました。本決算において、本業の儲けを示す指標である営業利益は1243億円を記録しています。これは前年の同じ時期と比較すると16%もの減少にあたり、同社が長年目標として掲げている「連結営業利益率10%」という高い壁を改めて浮き彫りにした形です。堅調な経営を続けてきた巨人が、世界経済の荒波に直面しています。
今回の減益を招いた大きな要因として挙げられるのが、世界的な景気減速の波です。特に日立建機や日立金属といった、グループを支える上場子会社4社が軒並み苦戦を強いられました。製造業における主要な指標である「営業利益率」は、売上高に対してどれだけ効率よく利益を出せたかを示すものですが、今期は6.1%に留まっています。この数字は、日立がグローバル企業として競合他社と渡り合うために必要不可欠と考えている水準には、まだ距離があると言わざるを得ません。
日立が現在、成長の柱として最も注力しているのが「IT(情報技術)部門」です。特にあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」分野は、将来の収益源として期待されています。しかし、今回の決算では、このIT部門の好調さをもってしても、製造業関連の子会社が抱えた損失を補うまでには至りませんでした。最先端技術によるデジタル変革(DX)の推進だけでは解決できない、重厚長大産業特有の課題が露呈した格好です。
この結果を受け、SNS上では「日立ほどの企業でも景気の減速には抗えないのか」といった驚きの声や、「上場子会社のあり方を見直すべき時期に来ているのではないか」という鋭い指摘が相次いでいます。投資家の間でも、親会社と子会社が共に上場する「親子上場」の解消を求める声が強まっており、今後の日立グループ全体を巻き込んだ大胆な組織再編を予感させる雰囲気が漂っています。現状を維持するだけでは、目標達成は困難であるという認識が広まりつつあります。
編集者としての視点ではありますが、今回の日立の苦戦は、単なる一企業の業績悪化ではなく、日本の製造業が直面している構造的転換期の象徴だと感じます。ハードウェアの販売に頼るビジネスモデルから、サービスやソフトを融合させた高付加価値なモデルへの脱皮は、想像以上に険しい道のりなのでしょう。しかし、日立にはこの逆境を跳ね返す底力があると信じたいところです。今後は不採算部門の切り離しを含めた、痛みを伴う改革がより加速していくのではないでしょうか。