【情報バリアフリー最前線】手話ガイドと触れる展示で実現する「科学の感動」!博物館が目指す「全ての来場者に優しい」未来

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近年、科学系の博物館や美術館では、物理的な整備に加えて「情報のバリアフリー化」を進める取り組みが大きな注目を集めています。これは、単にスロープを設置して移動しやすくするだけでなく、展示内容を理解するための情報へのアクセスを、全ての人に保証しようという試みです。関係者の間では、「科学を知る喜びやワクワクする感動を、性別や年齢、障害の有無に関わらず、全ての来場者に届けたい」という熱い思いが共有されています。

特に、聴覚や視覚に障害がある方々への配慮が急ピッチで進められています。例えば、聴覚障害のある学生が多く在籍する筑波技術大学の生田目美紀教授(情報デザイン)は、博物館に手話ガイドを派遣するプロジェクトを精力的に展開しています。これは、専門的な内容も手話で分かりやすく解説できる人材を育成し、希望する博物館に送り出すという画期的な仕組みです。2019年6月7日までクラウドファンディングで賛同が呼びかけられ、すでに目標額の115万円に到達するなど、社会的な反響の大きさを示しています。

生田目教授が指摘するように、科学の専門用語を手話で表現することには、独特の奥深さがあります。それは、対象となる「もの」や「現象」の特徴を直感的に捉えられるように表現する点にあります。例えば、進化の過程で恐竜と鳥の分岐点に位置するとされる「始祖鳥」を説明する場合、単語の羅列ではなく、手を羽のように上下させて飛ぶ様子を示したり、指で特徴的な3本のかぎ爪を表現したりします。同時に「爬虫類」や「鳥類」といった分類を示すボードも併用することで、聴覚障害のある方々の理解を深くサポートできるのです。

この手話ガイドの解説は、聴覚障害がある方だけでなく、健常者の方の理解をも深める効果があると期待されています。例えば、魚のマンボウの解説では、3Dプリンターで製作した実物大の模型を使い、その独特な泳ぎ方を再現するとのことです。このように、視覚や触覚など、複数の感覚を通して情報に触れる機会が増えることで、科学への興味や理解がより一層深まることでしょう。筑波技術大学2年の大石周さん(19歳)のように、幼い頃の遠足では展示を眺めるだけだった聴覚障害を持つ学生が、「こんなに面白い説明を知るチャンスを逃していたのか」と驚き、手話ガイドへの応募に関心を寄せるなど、当事者の期待も非常に高いことが伺えます。

聴覚への配慮だけでなく、視覚障害者に向けた取り組みも全国に広がりを見せています。大阪府箕面市にある箕面公園昆虫館では、案内図に点字を採用するほか、トンボやハチなど13種類の昆虫の顔面の構造を銅板に打ち出した展示を常設しています。目が不自由な方も、実際に指で触れて形を想像できるため、学びの機会が大きく開かれます。また、ミュージアムパーク茨城県自然博物館(茨城県坂東市)では、本物の隕石に触れる展示や、カエル・鳥の鳴き声を聞ける体験を用意しているのです。

同博物館が年1回開催する特別展「ハートフルミュージアム」では、触れる動物の標本や植物の匂いを嗅ぐといった、五感を活用する仕掛けの種類をさらに増やしています。担当者によれば、この特別展は障害の有無に関わらず「全ての来場者が楽しめる」ため、毎回非常に好評を博しているそうです。私自身の意見としても、このような「誰も排除しない設計(インクルーシブ・デザイン)」は、科学の感動を共有するだけでなく、多様な人々が共に楽しめる**「共生社会」を実現するための重要なステップ**だと確信しています。

情報バリアフリー化の波は、科学館からさらに広く、社会全体へと広がっていくでしょう。生田目教授は、「科学を知ってワクワクする感動を全ての人に感じてもらうと共に、より進んだバリアフリー社会を実現するため、この取り組みを通じて理解を広げていきたい」と、その意気込みを語っていらっしゃいます。これは、科学の知識を深めるだけでなく、社会全体の意識改革を促す、極めて重要な挑戦だと言えるでしょう。

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