大阪チタニウムテクノロジーズは2024年9月2日、航空機の機体やエンジン部品に使われるスポンジチタンの生産能力を25%増強する計画を発表しました。同社は約330億円を投じて本社尼崎工場の製造設備を増設し、2027年度末までに年間生産能力を現在の4万トンから5万トンに引き上げる予定です。この動きは、新型コロナウイルス禍からの旅客需要の回復に伴い、航空機向けチタン需要が増加していることを受けたものです。
スポンジチタンは、チタンを加工して作る展伸材の原材料で、航空機の機体やエンジン部品、さらには宇宙産業や医療分野などでも幅広く使用されています。日本国内でスポンジチタンを製造しているのは大阪チタニウムと東邦チタニウムの2社のみであり、特に航空機エンジン向けの最高級グレード製品を生産できるメーカーは世界でも限られています。
今回の生産能力増強は、中長期的に見込まれるチタン需要の増加に対応するためのものです。また、日本政府が推進する経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」の供給確保の一環として、経済産業省から約80億円の助成を受けています。この法案は、国内での重要資源の安定供給を目的としており、大阪チタニウムの取り組みがその要請に応えるものとなっています。
同社のチタン事業は2024年3月期に売上高が前期比33%増の522億円と好調に推移しており、今回の投資を通じてさらに成長が期待されています。航空産業の回復基調が進む中で、大阪チタニウムはその需要を取り込む準備を整えています。
SNSでは、「日本の産業基盤が強化される朗報」「航空機需要の回復に伴う日本企業の先手の対応が素晴らしい」といったポジティブな意見が多く見られる一方で、「生産能力の増強に伴い、品質管理にもさらなる注力を期待したい」という声も寄せられています。
チタンは軽量で高い耐久性を持つことから、多くの先端分野で需要が増え続けています。今回の大阪チタニウムの取り組みは、単に航空産業への対応にとどまらず、日本の素材産業全体の競争力を底上げする大きな一歩と言えるでしょう。この生産能力増強が、国内外の需要をどのように満たしていくのか、今後の動向に注目が集まります。