ダイハツ工業は2024年9月2日、軽自動車「ミライース」の後方確認機能を強化した改良モデルを、10月1日に発売すると発表しました。このモデルチェンジでは、鋼材やエネルギーコスト、物流費の高騰を反映し、価格を約7%値上げします。新しい希望小売価格は99万2200円から144万6500円となり、改定価格は10月1日以降の販売に適用されます。今回の発表は、2023年春に発覚した型式指定認証の不正問題以降、ダイハツが改良した車両を初めて市場に投入する試みでもあります。
この改良型ミライースは、2024年11月1日から適用される後方確認装置の新しい法規制に対応するため、音波センサーを追加装備しました。このセンサーにより、車両の背後1メートル以上の高さにある物体を検知できるようになり、さらに誤発進防止の安全機能も強化されています。従来は上位モデルにのみ搭載されていた障害物検知用カメラが、今回の改良により全グレードで標準装備となり、より多くの顧客に安全運転支援機能を提供できる仕様となりました。
ダイハツは、2023年春に発覚した型式指定の認証不正問題を受けて、同年12月には全国内工場で一時的に生産と出荷を停止しました。この問題により車両開発が約1年間停滞し、新たな法規制対応や車両改良が遅れた背景があります。今回のミライース改良版の発売は、同社にとって信頼回復と再出発の一歩として注目されています。
SNSでは、「新しい安全機能が搭載されたミライース、これで高齢ドライバーも安心」「値上げは残念だけど、安全性能がアップするのは嬉しい」といった肯定的な意見が多く寄せられています。一方で、「不正問題の影響がまだ続いているのでは」といった声も聞かれ、ダイハツに対する厳しい視線が残ることも事実です。
軽自動車市場は、コスト競争が激化する中で、安全性や性能の向上が求められています。今回のミライース改良版の投入は、法規制対応だけでなく、顧客に安心を提供するための重要な一手といえるでしょう。ダイハツが今後どのように信頼を取り戻し、さらなる進化を遂げるのか、業界内外から注目が集まっています。