教育現場における言語の壁をテクノロジーが取り払おうとしています。奈良県生駒市に拠点を置く奈良先端科学技術大学院大学は、日本語で行われる講義映像に対して、AI(人工知能)が自動で英語字幕を生成する画期的なシステムを開発しました。2019年秋から留学生向けに提供が開始される予定となっており、学問の国際化を加速させる一手として大きな注目を集めています。
このシステムを生み出したのは、知能コミュニケーション研究室の中村哲教授らの研究グループです。日常的な短い会話を翻訳する技術はすでに普及していますが、講義のように文の切れ目が不明瞭なまま長時間続く発話に対し、精度を保ちながらリアルタイムで字幕を付与する仕組みは、日本で初めての試みとなります。まさに、音声解析技術の新たな地平を切り拓く成果といえるでしょう。
システムの中核を担うのは、AIの主要技術である「ディープラーニング(深層学習)」です。これは、コンピューターが大量のデータから特徴を自動的に学び取り、人間のような高度な判断を可能にする手法を指します。今回は国立国語研究所が保有する膨大なデータベースや、大学内での実際の講義録音を学習させることで、教育現場特有の言い回しや専門的な文脈を正確に把握する能力を磨き上げました。
現在の音声認識における単語の正解率は8割から9割という極めて高い水準に達しています。今後は科学技術分野の専門的な対訳データをさらに蓄積することで、より完璧に近い精度の実現を目指しています。このニュースに対しSNSでは「留学生にとって救世主になる」「日本の大学の国際競争力が上がる素晴らしい発明だ」といった、期待と称賛の声が相次いで寄せられている状況です。
教育のボーダレス化を加速させるAIの可能性
私自身の見解としても、この技術は単なる翻訳ツール以上の価値を秘めていると感じます。これまでは言語の壁によって、優れた研究内容が一部の層にしか届かないという損失がありましたが、このシステムが普及すれば、世界中の学生が等しく高度な知に触れるチャンスを得られます。日本語から英語だけでなく、英語の講義に日本語字幕を付ける運用も想定されており、双方向の交流が活発化するはずです。
2019年07月31日に発表されたこのプロジェクトは、将来的に他大学への導入も視野に入れているとのことです。教育と最新テクノロジーが融合することで、キャンパス内の多様性はより一層深まっていくに違いありません。AIが言葉の溝を埋めることで、国籍を問わず誰もが自由に学び、議論できる未来がすぐそこまで来ていることを、今回の発表は強く予感させてくれます。