2019年4月末に年初来高値を更新した日経平均株価ですが、それ以降の様相は一変しました。米国と中国の間の貿易摩擦が激しさを増し、市場に冷や水を浴びせた結果、5月に入ってからは一貫して下落基調を辿っています。この急激な相場の変化を前に、市場関係者の間では、ある既視感にも似た声が広がり始めているのです。それは、昨年10月から12月末にかけて経験した下落局面と、現在のチャートパターンが驚くほど類似しているという指摘でしょう。
この状況が何を意味するのか、今後の株価の行方を占う上で、一つの極めて重要なラインが注目されています。それは「75日移動平均線」というテクニカル指標です。この移動平均線は、約3カ月間という四半期の区切りで市場に参加している投資家たちの平均的な売買コストを示しており、多くの投資家が相場の節目として意識する傾向があります。このラインを巡る攻防こそが、現在の市場の命運を握ると言えるでしょう。
昨年2018年10月の相場を振り返りますと、日経平均株価は高値を付けた直後に急落し、75日移動平均線を割り込みました。その後、幾度か反発を試みる場面は見られましたが、その都度、この75日線が強固な抵抗線として機能し、株価を押し戻した結果、市場は下値を切り下げていく展開となったのです。この苦い経験が、多くの投資家の記憶に鮮明に残っているはずです。
そして、2019年5月以降の展開も、昨年秋口の状況と酷似しています。株価が急激に下落した後、短期的なリバウンド(反発)局面を迎えましたが、やはり75日移動平均線を上回ることができていません。直近2019年6月6日時点における75日移動平均線の水準は、2万1454円です。この水準を突破できるか否かが、市場心理に大きな影響を与えることでしょう。
楽天証券の土信田雅之氏が指摘しているように、もしこの75日移動平均線が上値の抵抗線として再び機能し、相場が押し戻されるようなことになれば、昨年2018年10月以降に見たような、さらなる下値を探る展開となる可能性は否定できません。まさに市場は岐路に立たされており、このテクニカルな節目を前に、投資家たちは極めて慎重な姿勢を崩せずにいると考えられます。私見を述べますと、株価の絶対水準だけでなく、市場参加者が過去の経験をどれだけ意識しているかという心理的な側面が、この75日移動平均線の重要性を一層高めていると言えるでしょう。過去のパターンが繰り返されるというジンクス的な動きに、市場は敏感に反応しているのではないでしょうか。
SNSでの反響:不安と期待の交錯
この市場の動向は、もちろんインターネット上のSNSでも大きな反響を呼んでいます。多くの個人投資家からは「またあの地獄のような下落が来るのか」「75日線で跳ね返されたら逃げ場がない」といった不安の声が多数見受けられます。一方で、「過去のパターンを意識しすぎるのは危険だ」「昨年とはファンダメンタルズ(企業の経済活動を分析するための基礎的な数値)が違う」と、過度な悲観論を戒める冷静な意見も存在します。特に、この75日移動平均線という専門用語が、多くのユーザーの議論の的となっているのが印象的です。このラインに対する注目度の高さは、市場のセンチメント(投資家心理)がいかにネガティブな方向に傾きやすい状況にあるかを如実に示していると言えるでしょう。