2024年9月2日、日立製作所はエジプトの首都カイロにある地下鉄1号線の改修工事を共同事業体(コンソーシアム)として受注したと発表しました。このプロジェクトの総額は8億ユーロ(約1290億円)を超え、2024年10月に着工し、2030年の完了を目指します。日立は信号や通信インフラ、制御システムの更新を担当し、エジプト最古の地下鉄路線である1号線の輸送能力向上に貢献する計画です。
カイロ地下鉄1号線は1987年に開業した路線で、現在では1日あたり150万人以上が利用しています。利用者増加に伴い、老朽化したインフラの改修や輸送効率の改善が喫緊の課題となっていました。今回の工事は、エジプト運輸省のトンネル公団(NAT)が発注したもので、駅やトンネル、架線などの物理的な更新に加え、信号や通信システムの刷新が含まれます。
コンソーシアムの役割分担は、欧州の鉄道会社であるコーラスレールとエジプトの建設大手オラスコム建設がそれぞれ35%を担当し、駅やトンネル、架線の更新を行います。一方、日立の鉄道部門である日立レールが29%を担い、信号や通信、制御インフラを供給します。このプロジェクトにはもともとフランスの電子機器大手タレスの鉄道信号事業が参画していましたが、2023年6月に日立がこの事業を買収したため、タレスの応札分を日立が引き継ぐ形となりました。
SNS上では、「日立の技術がエジプトの交通インフラに貢献」「世界での鉄道事業の存在感がさらに高まる」といった称賛の声が多く見られる一方で、「工期が長いが、2030年の完成が待ち遠しい」といった期待も寄せられています。特に、信号や通信といった目に見えにくい分野での技術力に注目するコメントが目立っています。
今回の受注は、日立が近年進めているグローバル展開の一環として、アフリカ地域におけるプレゼンス拡大の重要な一歩となるでしょう。今後、日立が世界の交通インフラをどのように進化させるのか、さらなる活躍が期待されます。