2019年8月2日現在、北海道の酪農現場に緊張が走っています。例年であれば夏本番を迎え、キンキンに冷えた牛乳が喉を潤す季節ですが、本州を襲った記録的な長雨と天候不順が、北の大地の生乳出荷に暗い影を落としているのです。本来なら需要がピークに達するはずの時期に、予想外の事態が巻き起こっています。
実際の数字を見ると、その深刻さが浮き彫りになります。2019年7月1日から2019年7月7日までのわずか1週間で、牛乳の販売量は前年と比較して6%も減少してしまいました。SNS上でも「今年は涼しくて牛乳を飲む機会が減った」「雨ばかりで買い物に行くのが億劫」といった声が散見され、天候が消費行動に直結している様子が伺えます。
ここで専門的なキーワードである「生乳(せいにゅう)」について解説しましょう。これは牛から搾ったままの加工されていないお乳のことで、私たちがスーパーで見かけるパック詰めの牛乳の原料となります。さらに、北海道の農協を束ねる「ホクレン」という組織は、この生乳を集めて全国へ届ける重要な司令塔の役割を果たしています。
今回の需給バランス崩壊には、二つの要因が重なっています。一つは気温が上がらないことによる消費の低迷です。そしてもう一つは、涼しい気候のおかげで本州の牛たちが夏バテせず、予想以上に多くの生乳を生産したことでした。これにより、本州側で生乳が自給自足できてしまい、北海道産の出番が急激に減ってしまったのです。
需給調整の最前線!「余った生乳」を救う現場の奮闘
需要が落ち込んだ結果、ホクレンには取引先からのキャンセルが相次いでいます。絞りたての生乳は鮮度が命であり、長期間の保存が効きません。そのため現在は、本来「飲用」として出荷されるはずだった生乳を、バターや脱脂粉乳といった日持ちのする製品へ回す「加工処理」を急ピッチで進めている状況です。
筆者の個人的な見解としては、こうした自然環境に左右される酪農の難しさを改めて痛感せざるを得ません。普段私たちが何気なく手に取っている牛乳一杯の裏側には、こうした複雑な需給の駆け引きと、生産者の懸命な努力が隠されています。消費者の立場としては、料理に活用するなどして、積極的に乳製品を応援したいところですね。
2019年の夏は、酪農大国・北海道にとって正念場といえるでしょう。加工施設のフル稼働によって廃棄を防ぐ取り組みが続いていますが、一刻も早い天候の回復が待たれます。太陽が顔を出し、全国的に暑い日が戻ってくれば、再び北海道のおいしい生乳が日本中の食卓を元気づけてくれるに違いありません。