日本の食卓に欠かせないおでんや煮物の主役である「練り物」が、今、大きな転換期を迎えています。2019年08月02日現在、練り物の主原料として重宝されてきた「スケソウダラ」のすり身価格が高騰しており、新潟県を拠点とする大手メーカー各社は、かつてない厳しい局面への対応を迫られている状況です。この異変に対し、家計を預かる消費者からも「お弁当の定番が値上がりするのは困る」といった切実な声がSNS上で次々と上がっています。
こうした逆境の中で、業界最大手の一正蒲鉾は非常にダイナミックな経営判断を下しました。同社は製造ラインにおける検査工程の自動化を推し進めることで、徹底的なコスト削減を図っています。さらに、あえて商品数を絞り込む「選択と集中」を断行し、生産効率を極限まで高める戦略に打って出ました。これまでの多種多様なラインナップを整理するのは勇気のいる決断ですが、品質を維持しながら価格を据え置くための、編集者も唸るほど合理的で賢明な判断と言えるでしょう。
一方、独創的なアイデアでこの難局を切り抜けようとしているのが、同じく新潟に本社を置く堀川です。同社は高騰するスケソウダラの代用として、比較的安定した供給が見込める「イワシ」を主原料に据えた新商品の開発に成功しました。青魚特有の旨味を活かしたこの取り組みは、単なる代替品の枠を超え、新しい練り物の魅力を引き出す絶好の機会となっています。SNSでは「イワシのつみれ風で、むしろこっちの方がお酒に合う!」と、怪我の功名とも言えるポジティブな評価が広がっているようです。
伝統を守るための「革新」と「知恵」が食卓の未来を創る
ここで専門的な背景を少し補足しますと、「スケソウダラすり身」とは、魚の身を洗浄して水分を絞り、保存性を高めるために糖類などを加えた加工原料を指します。世界的な健康志向の高まりにより、海外でカニカマなどの需要が爆発的に増えたことが、今回の価格高騰の大きな要因となっています。つまり、私たちが日頃何気なく食べているちくわや蒲鉾は、今や世界規模の争奪戦に巻き込まれている貴重な資源であるという事実に、改めて驚かされるのではないでしょうか。
私自身の見解としては、こうした企業の涙ぐましい努力は、もっと正当に評価されるべきだと感じています。原材料費が上がり続ける中で、安易な再値上げに踏み切らず、テクノロジーの導入や原料の転換で解決を図る姿勢には、老舗メーカーとしての強い矜持が伺えるからです。消費者の私たちにできることは、ただ安さを求めるだけでなく、こうした企業の創意工夫が詰まった新しい商品を積極的に手に取り、その挑戦を応援することなのかもしれません。
2019年08月02日の時点において、各社が知恵を絞って生み出した新機軸の練り物たちは、私たちの食卓をより豊かに彩ってくれるはずです。イワシの深い味わいを楽しむもよし、洗練された一正蒲鉾の定番商品を味わうもよし。ピンチをチャンスに変える新潟メーカーの挑戦は、これからも日本の食文化を支える大きな力となっていくに違いありません。美味しい練り物が今後も手軽に楽しめるよう、業界の動向に引き続き注目していきたいところですね。