世界の海を舞台に、物流の常識を根底から覆す巨大な地殻変動が起きています。2019年7月、日本の海運大手3社が統合して誕生したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は、世界最大手のマースクとIBMが主導する貿易プラットフォーム「トレードレンズ」への参画を正式に表明しました。この決定により、世界の主要な船社がひとつのデジタルネットワークに集結することとなり、海運業界のデジタルシフトは決定的な局面を迎えたといえるでしょう。
ここで注目すべきは、中核技術として採用されている「ブロックチェーン」です。これは、ネットワーク上の参加者全員で情報を分散して管理する技術を指し、データの改ざんが極めて困難であるという特徴を持っています。従来の貿易実務では、膨大な紙の書類や伝票がバケツリレーのように手渡しされてきましたが、この最新技術を活用することで、情報の書き換えを許さず、かつリアルタイムでの共有が可能になるのです。まさに、物流の「信頼」をシステムで保証する画期的な仕組みと言えます。
SNS上でもこのニュースは大きな話題となっており、「ようやくハンコと紙の山から解放されるのか」「物流の24時間リアルタイム追跡が当たり前になる時代がすぐそこまで来ている」といった、現場の効率化を期待する声が相次いでいます。情報の分断こそが物流における最大のコストであったことを考えると、このプラットフォーム化への期待感が高まるのは当然の流れでしょう。業界全体が手を取り合う姿に、驚きと称賛の眼差しが向けられています。
国内陸送にも波及するプラットフォームの波と「見える化」の真価
デジタル化の波は、大海原だけでなく日本の陸上輸送にも力強く押し寄せています。注目のスタートアップ企業であるHacobuは、物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」の展開を加速させており、荷主と運送会社をデジタルでつなぐ新たな挑戦を続けています。海と陸、それぞれのフィールドで共通して目指されているのは、情報の「見える化」に他なりません。どこに何があるのかを誰もが瞬時に把握できる環境は、もはや理想ではなく必須のインフラになりつつあります。
現在のサプライチェーンを見渡すと、モノの動きに合わせて電話やFAX、紙の伝票が飛び交う、極めてアナログで非効率なやり取りが散見されます。こうした情報の断絶は、予期せぬ遅延やミスの温床となっていました。しかし、共通のプラットフォームにデータが集約されれば、サプライチェーンに関わるすべてのプレイヤーが同一の情報を共有できます。無駄な待機時間の削減や、最適な配車計画の策定が実現し、物流全体の生産性は劇的に向上するに違いありません。
編集者の視点から申し上げれば、今回のONEの決断は、競合他社と手を取り合ってでも「標準化」を優先するという、業界の強い危機感の表れだと感じます。独自のシステムに固執する時代は終わり、オープンなプラットフォームでいかに価値を創造するかが問われるフェーズに突入しました。2019年08月02日現在、物流業界はまさに100年に一度の変革期の中にあり、デジタル化を受け入れた企業こそが、次世代のサプライチェーンを支配することになるでしょう。
今後、これらのプラットフォームがどれほどのスピードで世界中の現場に浸透していくのか、その動向から目が離せません。アナログな慣習が根強い業界だからこそ、デジタル化によるインパクトは計り知れないものがあります。私たちの生活を支える物流が、よりスマートで透明性の高いものへと進化していく未来を、確信を持って見守っていきたいものです。この大きな変化は、最終的には消費者の手元に届くサービスの質を向上させ、社会全体を豊かにしてくれるはずです。