東北大学が抗がん剤を進化—副作用を抑え効果を高める新成分を開発

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2024年9月現在、東北大学の小関良卓助教と笠井均教授らの研究チームが、既存の抗がん剤の構造を改良し、がん細胞でより効果的に働く新成分を開発しました。この技術革新により、従来の抗がん剤に比べて高い治療効果を動物実験で確認したほか、副作用を抑えることにも成功しています。この成果は、がん治療の未来に新たな可能性を切り開くもので、多くの注目を集めています。

研究チームが注目したのは、抗がん作用を持つ物質「SN-38」です。この物質は細胞のDNA複製を阻害し、がん細胞の分裂を抑える強力な効果がありますが、水に溶けにくいため、そのままでは薬剤として利用しづらいという課題がありました。このため、化学的に構造を一部改変した成分「イリノテカン」が既に実用化されています。しかし、イリノテカンは肝臓の酵素によって活性化される際、がん細胞以外にも作用してしまうため、下痢などの強い副作用を引き起こすケースがあることが課題でした。

そこで研究チームは、がん細胞が正常な細胞よりも多く含む「グルタチオン」という抗酸化物質に着目。この特性を活用し、2つのSN-38分子を化学結合でつなぎ、グルタチオンが働くことで結合が切れて活性化する仕組みを新たに設計しました。この構造により、SN-38はがん細胞内で効果を発揮しやすくなり、副作用のリスクを大幅に軽減できると考えられています。

がんを発症させたマウスを用いた実験では、新しい成分が従来のイリノテカンよりもがんの増殖を抑制する効果が高いことが示されました。さらに、深刻な毒性や重篤な副作用は見られず、安全性の高さも確認されています。一部のがん細胞はグルタチオンの含有量が少ない場合もありますが、平均的には正常な細胞よりも多く含まれるため、この技術は幅広いがん治療に応用できる可能性があります。

研究チームは、今後新成分を医薬品として求められる品質で製造し、安全性や有効性をさらに検証する計画です。そして、早ければ5〜10年後の臨床試験開始を目指しており、実現すればがん治療における画期的な進展となるでしょう。

SNSでは、「副作用が少ない抗がん剤の登場は希望の光」「がん治療がこれほど進化しているとは驚き」といった期待の声が広がっています。この研究成果は、がん治療の未来を変える可能性を秘めており、さらなる進展が期待されます。東北大学の挑戦が、患者の生活の質を大きく向上させる新しい治療法への道を切り拓くかもしれません。

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