東証の売買高が15年ぶりの低水準に?超低金利と「クジラ」が変えた日本株市場の未来

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2019年08月01日現在の日本株式市場では、かつてないほどの静けさが広がっています。7月の東京証券取引所第1部における月間売買高は、なんと過去15年間で最も少ない水準まで落ち込みました。投資家の熱気が失われたかのようなこの「薄商い(うすあきない)」は、単なる一時的な現象ではなく、市場の仕組みそのものが根本から変質している証拠といえるでしょう。

薄商いとは、市場での取引が極端に少なくなり、売買が成立しにくくなる状態を指す言葉です。SNS上でも「以前のようなボラティリティ(価格変動)がなくて面白みに欠ける」「動かない相場に疲れた」といった、投資家たちの戸惑いの声が目立っています。こうした流動性の低下を招いている大きな要因の一つが、市場で「クジラ」と呼ばれる巨大な公的マネーの存在なのです。

「クジラ」の支配と投資スタイルの劇的な変化

ここでいうクジラとは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日本銀行といった、圧倒的な資金力を持つ公的機関を指しています。彼らが大量の株式を買い支えることで、株価の急落が防がれる一方、本来なら市場で生じるはずの自然な値動きまでもが抑え込まれてしまいました。その結果、短期的な売買で利益を狙うトレーダーにとっては、チャンスを見出しにくい過酷な環境が続いています。

また、世界的な超低金利が当たり前になったことで、投資家の行動原理も様変わりしました。将来的に金利が上がらない、あるいは物価も上昇しにくいという「停滞の長期化」を見越した動きが強まっています。リスクを取って積極的に売買を繰り返すよりも、企業が自ら株を買い戻す「自社株買い」や、安定した配当金をじっくりと受け取り続ける長期保有を重視するスタイルが主流となりました。

私自身の見解としては、市場の安定は歓迎すべきことですが、ここまで流動性が枯渇するのは健全な姿とは言い難いと感じます。適度な緊張感や変動があってこそ、新しい投資家が参入し、市場に活力が生まれるはずです。現在のような「待ち」の姿勢が常態化してしまうと、日本経済全体のダイナミズムが失われてしまうのではないかと、編集者として強い危惧を抱かずにはいられません。

個人の投資家たちの間でも、値上がり益よりも配当利回りを重視する傾向がこれまで以上に鮮明になっています。2019年08月01日時点のこの構造変化は、一過性のブームではなく、低金利時代の「新しい日常」として定着しつつあるようです。今後の日本株市場が再び輝きを取り戻すためには、公的マネーの依存から脱却し、民間の投資意欲を刺激する新たな物語が必要になるでしょう。

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