群馬大学とJAMSTEC、海洋汚染を減らす新技術—生分解性プラスチックの分解を加速

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2024年9月現在、群馬大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究チームが、生分解性プラスチックを海洋環境で素早く分解させる新たな方法を開発しました。この画期的な技術は、プラスチックを分解する微生物を引き寄せる物質を混ぜ込むことで、プラスチックの分解効率を飛躍的に高めるというものです。もし実用化が進めば、世界的な課題となっている海洋プラスチック汚染の改善に大きく貢献するでしょう。

生分解性プラスチックは、微生物の働きによって二酸化炭素(CO2)と水に分解される環境に優しい素材として注目されています。しかし、海洋では微生物の密度が土壌に比べて非常に低いため、分解が進みにくいという課題がありました。この問題に対し、研究チームは「ポリブチレンサクシネート(PBS)」という生分解性プラスチックに、微生物を誘引する物質を混ぜる新技術を提案しました。

誘引物質として使われたのは、自然界で植物の葉の表面を構成する「クチン」という成分の一部です。この物質が微生物を引き寄せ、プラスチックを分解する酵素を作り出す仕組みを利用しました。酵素がプラスチックの高分子鎖を切断することで、微生物がその断片を餌として取り込むプロセスが加速します。

実験では、この物質を混ぜたプラスチックを海水中に置いたところ、3カ月後には約90%が分解されました。一方、物質を混ぜないプラスチックはほとんど分解されず、その違いが顕著に現れました。この結果について、群馬大学の粕谷健一教授は「生分解性プラスチックは万能ではなく、現在市販されている多くの製品が海洋環境では分解しにくいのが現状です」と指摘しています。

今回の成果は、特に釣り具や人工芝などの素材開発への応用が期待されています。また、生分解性プラスチックの分解を促進するための他のアプローチとして、プラスチックの分子構造を変える方法や、分解に適した微生物を混ぜ込む手法なども研究されています。

SNSでは、「海洋汚染解決に向けた日本の技術力に期待」「釣り具や人工芝に活用されたら環境負荷が大幅に減りそう」といった好意的な声が寄せられています。プラスチック汚染問題は地球規模の課題であり、今回の技術が実用化されれば、より持続可能な未来を築く鍵となるでしょう。群馬大学とJAMSTECの挑戦が、地球の海を守る新たな一歩となるかもしれません。

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