2024年9月現在、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した大型ロケット「H3」は、世界的なロケット開発競争の中で存在感を示すべく、打ち上げコストの半減を目指した改良が進行中です。H3は現在運用中の「H2A」に代わる日本の次世代主力ロケットとして注目されており、三菱重工業とJAXAが連携し、低コストかつ高性能を武器に国内外の需要を取り込む戦略を描いています。
H3の挑戦は、2023年9月に初号機の失敗から始まりましたが、その後の2号機、3号機の成功で信頼を回復し、2024年10月には防衛省の通信衛星を搭載した4号機の打ち上げが予定されています。この成功を重ねる中で、H2Aと比較して約半分のコストである50億円という目標を達成するための改良が進められています。その一つが、固体燃料を使用する補助推進装置を排除し、液体燃料エンジンを3基搭載して打ち上げる方式の実現です。この技術には高度なエンジン制御が求められるものの、成功すればさらなるコスト削減が可能になります。
また、H3のエンジンは振動を抑えるために出力を制限しているため、これを改良することで重量のある衛星も打ち上げられるようになる見込みです。これにより、国際市場での競争力がさらに高まると期待されています。
一方で、世界では再使用技術や新型燃料の導入など、先進的な技術競争が激化しています。アメリカのスペースXは、2023年に世界のロケット打ち上げ回数の約半数を占める96回の打ち上げを達成。主力ロケット「ファルコン9」の一部を再使用することでコストを抑え、現在の打ち上げ費用は約100億円ですが、将来的には完全再使用可能な「スターシップ」により、コストを約1億円まで削減する計画を進めています。さらに、中国はメタン燃料を使用したロケットを世界で初めて成功させるなど、アメリカに次ぐ存在感を示しています。
日本もこうした潮流に追随するため、H3の改良を段階的に進める方針を示しました。これにより、20年間で大幅な改良が1回のみだったH2Aとは異なり、数年ごとに技術の更新を行うことで、国際競争力を維持していく計画です。また、政府は国内で年間30回のロケット打ち上げを目指し、JAXAや民間企業が協力して新技術の開発を進めるための「宇宙戦略基金」を設置しました。この10年間で約1兆円の支援が予定されており、円滑な官民連携が今後の鍵を握ります。
SNSでは「H3が日本の宇宙技術を世界に示すきっかけになる」「低コストでの打ち上げ実現は画期的」といった期待の声が寄せられています。H3が国際市場でどのように位置付けられるか、そして新技術の開発で日本が再び宇宙開発の中心に立てるのか、その未来に注目が集まります。