北海道・札幌から世界を驚かせるニュースが飛び込んできました。AIスタートアップとして知られる「調和技研」が、2019年11月にバングラデシュでシステム開発拠点を新設することを発表したのです。これは「オフショア開発」と呼ばれる手法で、システムの設計や構築を海外の拠点へ委託することで、コストを抑えつつ質の高いリソースを確保する戦略的な試みといえるでしょう。SNS上では「ついにバングラデシュに目が向けられたか」「札幌企業のグローバルな視点に驚いた」といった期待の声が数多く寄せられています。
2009年に誕生した調和技研は、人工知能を駆使して企業の様々な悩みを解決に導くスペシャリスト集団です。驚くべきは同社の多様性で、すでにドイツやブラジル、バングラデシュなど7カ国のメンバーが在籍しているほか、主婦や高校生までもが活躍しています。こうした多種多様な人材をまとめ上げ、育成してきた独自のノウハウがあるからこそ、今回のような思い切った海外進出が可能になったのでしょう。同社はまず、バングラデシュの首都ダッカに現地法人を構え、当初は6名体制でスタートを切る予定です。
今回の進出において非常に賢明だと感じるのは、現地の政府や教育機関と手を取り合っている点です。学生のうちからAIの英才教育を施すプログラムを用意し、卒業後の優秀な人材をいち早く迎え入れる体制を整えています。単に安い労働力を探すのではなく、未来の技術者を育てるという姿勢は、長期的な視点で見て非常に価値があるのではないでしょうか。計画では、今後2年から3年をかけて現地のスタッフを20名規模まで拡大させる見込みとなっており、その成長スピードには目を見張るものがあります。
なぜ今、バングラデシュなのか?AI人材争奪戦の裏側
これまで日本企業の開発パートナーといえば、中国やベトナムが主流でした。しかし、今なぜバングラデシュが注目を集めているのでしょうか。最大の理由は、AI開発に不可欠な「数学的素養」の高さにあります。AI技術の本質は、膨大なデータから法則性を導き出す統計学や高度な数理モデルにあります。バングラデシュには、こうした基礎学力が非常に高い若者が多く、まさにAIエンジニアの宝庫なのです。さらに、人件費が日本の半分以下であり、ベトナムと比較してもコストメリットが大きいという点も魅力でしょう。
さらに、バングラデシュ政府が打ち出している強力な支援策も見逃せません。現在、同国では経済政策の一環として日本企業の誘致を積極的に進めており、IT関連企業に対しては法人税を一部免除するなどの優遇措置を講じています。こうした国を挙げたバックアップは、企業にとって進出のリスクを軽減する大きな追い風となります。日本国内では少子高齢化によってIT人材の不足が深刻な問題となっており、こうした海外拠点の確保は、企業の生き残りをかけた極めて重要な一手になるはずです。
この動きは一社に留まりません。調和技研と親交のあるテクノフェイスも、2020年以降にバングラデシュへの進出を前向きに検討しています。彼らはシステムの心臓部を担う数名の技術者に加え、AIに知識を教え込む「教師データ」の作成を担当する数十名規模のチームを編成する予定です。さらに調和技研は、バングラデシュを目指す中小企業を10社ほど募る計画も立てています。このように一企業が先陣を切って道を作ることで、地域の産業全体の競争力が高まっていく光景は、非常に頼もしく感じられます。