北陸地方の経済を支える中小企業の景況感に、にわかに暗雲が立ち込め始めました。2019年08月01日に発表された最新の調査結果によると、富山・石川・福井の北陸3県における中小企業の「業況判断DI」が、実に5四半期ぶりに悪化へと転じたことが明らかになったのです。これまで緩やかな回復基調にあった地域経済ですが、ここにきて足踏みを強いられる形となりました。
ここで注目すべき「業況判断DI」とは、景気の現状を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた指標のことを指します。この数値が大幅に低下した背景には、世界規模で激化する米中貿易摩擦の影響が色濃く反映されていると言えるでしょう。グローバルな経済の冷え込みが、北陸の強みである製造業の受注鈍化という形で、ダイレクトに影を落としているのが現状です。
SNS上では、このニュースに対して「地元の工場の稼働が少し落ちている気がする」「輸出関連の仕事をしているので、米中の動向が怖くてたまらない」といった、現場の生々しい不安の声が数多く寄せられています。単なる統計上の数字以上に、地域で働く人々の肌感覚として、景気の減速がじわじわと浸透している様子が伺えます。こうした製造業の苦境は、関連する下請け企業にも波及する恐れがあるでしょう。
また、厳しい状況にあるのは製造業だけではありません。2019年10月に予定されている消費税増税を前に、サービス業や小売業といった非製造業の間でも、先行きに対する慎重な見方が一気に強まっています。駆け込み需要への期待がある一方で、増税後の消費冷え込みを懸念する経営者が増えており、北陸全体に「今は耐え忍ぶ時期だ」という警戒感が広がっていることは否定できません。
私個人の見解としては、今回の景況悪化を単なる一時的な現象と楽観視すべきではないと考えています。米中摩擦という外因に加え、国内の増税という内因が重なる現状は、中小企業にとって極めて舵取りが難しい局面です。今後は、コスト削減といった守りの姿勢だけでなく、デジタル化や販路開拓など、変化に対応するための攻めの一手が必要不可欠になるのではないでしょうか。
2019年04月から2019年06月までの期間に浮き彫りとなった今回の調査結果は、北陸経済の脆さを改めて浮き彫りにしました。しかし、こうした逆風の中でも、新技術の開発や地域密着型のサービスで活路を見出す企業は必ず存在します。行政や金融機関には、厳しい冬を乗り越えようとする中小企業に対して、迅速かつ手厚い支援策を講じることが今こそ求められています。