家庭用薬品の大手として知られる小林製薬が、大きな転換点を迎えています。2019年07月31日に発表された同年01月から06月期までの決算データによれば、これまで同社の躍進を支えてきたインバウンド(訪日外国人)向け売上高の推計が51億円に留まりました。これは前年同期と比較して1億円の減少となっており、統計を取り始めて以来、初めて前年実績を割り込むという異例の事態に陥っています。
SNS上では、このニュースに対して「爆買いの勢いが落ち着いてきたのを実感する」といった冷静な分析や、「小林製薬の商品力なら、また別の形でヒットを生むはず」という期待の声が寄せられています。訪日客による購買行動が、単なる大量買いから、より自分に合った質を重視する方向へシフトしていることが伺えます。こうした市場の風向きの変化を敏感に察知し、企業側も新たな戦略を構築する必要に迫られているのでしょう。
そこで同社が成長の柱として白羽の矢を立てたのが、さらなる拡大が見込まれる「漢方事業」です。漢方とは、中国に起源を持ち、日本で独自に発展した伝統医学を指します。植物や鉱物などの生薬を組み合わせ、体全体のバランスを整えることで、病気の一歩手前である「未病」の状態を改善する効果が期待されています。ドラッグストアで手軽に買える漢方の需要は、健康意識の高まりとともに年々拡大しているのです。
疲労改善の決定版!10月から展開される新シリーズの全貌
小林製薬は、この勢いのある漢方分野を海外事業に次ぐ第2の成長エンジンと位置づけました。その象徴的な展開として、2019年10月には疲労回復や体調改善を目的とした漢方の新シリーズを市場に投入する予定です。現代人が抱える慢性的な疲れに対し、伝統的な知恵と最新のマーケティングを融合させたアプローチで、これまで同社に馴染みのなかった層への訴求も十分に期待できるでしょう。
今回、インバウンド需要が初めてマイナスに転じたことは一見ネガティブな兆候に思えますが、これは小林製薬が「訪日客頼み」の体質から脱却する絶好のチャンスだと私は考えます。優れた製品開発力を持つ企業だからこそ、ブームに左右されない強固な国内基盤を漢方によって再構築できるはずです。定番のアイデア商品だけでなく、専門性の高い漢方で健康を支える企業へと進化する姿に、今後も目が離せません。