FRBが10年半ぶりの利下げ決定!米中貿易摩擦の暗雲を振り払う「予防的措置」の真価と懸念とは?

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2019年08月01日、米国の金融政策を担う連邦準備理事会(FRB)は、リーマン・ショック後の混乱が続いていた2008年12月以来、約10年半ぶりとなる政策金利の引き下げを断行しました。今回の決定は、単に現状の景気が悪いから行われたわけではありません。現在、世界を揺るがしている貿易戦争の悪影響や、物価が上がりにくい低インフレの状態が長く続くことを防ぐための「予防的措置」としての性格が強いものです。

FRBのパウエル議長が、景気の下振れリスクを察知して早めに金融緩和という舵を切った判断は、市場の安定を考えれば妥当なものと言えるでしょう。しかし、ここで言う「金融緩和」とは、中央銀行が世の中に出回るお金の量を増やしたり金利を下げたりすることで、経済活動を活発にする魔法の杖のような役割を果たします。それでも、今のアメリカ経済を覆う濃い霧が、この一手だけで一気に晴れると考えるのは少し楽観的すぎるかもしれません。

貿易摩擦という根本原因と過剰な緩和が招くリスク

なぜなら、現在の不透明感を生み出している最大の根源は、トランプ政権が仕掛けている激しい貿易戦争にあるからです。パウエル議長は今回の利下げを、あくまで短期間で終わる調整的なものと想定している様子が伺えます。ここで安易に蛇口を緩めすぎてしまうと、株式市場が異常に過熱したり、企業の借金が膨らみすぎたりといった副作用を招く恐れがあります。行き過ぎた薬は、かえって経済の体力を削いでしまうことになりかねません。

さらに、アメリカが金利を下げれば他国の通貨が高くなり、それに対抗して世界各国がこぞって利下げを行う「金融緩和競争」が激化するリスクも無視できません。SNS上では「結局はトランプ氏の圧力に屈したのではないか」という厳しい声や、「利下げは歓迎だが、貿易問題が解決しない限り投資はしにくい」といった慎重な意見が目立っています。国民や投資家は、目先の金利低下よりも、安定した国際情勢を求めているのが本音でしょう。

私自身の見解としても、FRBという独立した機関が政治的な圧力にさらされる現状には強い危惧を覚えます。トランプ大統領はパウエル議長を解任する可能性まで示唆して利下げを迫ってきましたが、これは中央銀行の中立性を揺るがす極めて異例な事態です。経済の霧を晴らしたいのであれば、金利という「痛み止め」を打つこと以上に、貿易戦争という「病の根本」を解決することに全力を注ぐべきではないでしょうか。

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