2019年8月1日に民放キー局5社の2019年4月1日から2019年6月30日までの連結決算が出そろいましたが、テレビ業界を取り巻く環境は一段と厳しさを増しているようです。今回の発表では、主要5社のうち3社が最終的な儲けを示す「純利益」で前年を下回る減益となりました。かつてはお茶の間の主役だった地上波テレビですが、企業が支払う広告費の勢いに陰りが見えており、放送業界全体の構造的な変化が如実に表れた結果と言えるでしょう。
SNS上では今回の決算に対し、「やはり若者のテレビ離れが数字に出ている」「ネット広告に予算が流れているのではないか」といった冷静な分析が相次いでいます。特に2018年に開催され、日本中を熱狂させたサッカーのワールドカップ・ロシア大会のような巨大イベントが2019年は乏しかったことも、反動として大きな影響を与えたようです。お祭りのような特需が去った後、改めて日常的なコンテンツの集客力が問われる形となりました。
多角化経営の難しさと地上波広告の苦戦が鮮明に
個別に見ると、TBSホールディングスの2019年4月1日から2019年6月30日における純利益は、前年同期比で3%減少した65億円でした。メインとなるTBSテレビ単体では、番組を作るためのコストである「制作費」を抑えたことで利益を伸ばしましたが、意外な落とし穴が関連事業にありました。輸入雑貨店「プラザ」を運営する子会社で、化粧品販売に多額の宣伝費を投じたことが全体の足を引っ張る形となり、多角化経営の舵取りの難しさを露呈しています。
また、保有している株式の価値が下がった際に計上する「投資有価証券の評価損」も、TBSの利益を押し下げる要因となりました。一方でテレビ東京ホールディングスの状況はさらに深刻で、純利益は前年比で86%も激減した1億300万円に留まっています。同社はアニメなどの独自コンテンツには定評がありますが、屋台骨である地上波放送の広告収入が想定以上に伸び悩んでおり、売上高の年間予想も下方修正せざるを得ない事態に陥りました。
こうした中、フジ・メディア・ホールディングスは増益を確保しましたが、これは本業の好調というよりは特殊な要因が大きかったようです。具体的には、国に代わって運用していた年金資産を返還する際に生じる「厚生年金基金の代行返上益」という一時的な利益が数字を押し上げました。帳簿上の利益は確保したものの、視聴率や広告収入という本業の指標においては、依然として楽観視できない状況が続いていると考えられます。
私個人の見解としては、もはやテレビ局は「放送」という枠組みだけに頼る時代ではないと感じています。ネット動画配信サービスの台頭により、視聴者の時間は細分化されており、従来のビジネスモデルは限界に近づいているのかもしれません。今後は、自社で持つ強力なコンテンツ制作能力をいかにデジタル領域や海外展開に結びつけるかが、再成長のカギを握るはずです。時代のニーズを先読みした大胆な改革を期待したいところですね。