ゼネコン準大手の西松建設が、2019年08月02日に注目の決算発表を迎えます。事前の観測によりますと、2019年04月01日から2019年06月30日までの連結営業利益は、前年同期とほぼ同水準の40億円強に留まる見通しとなりました。売上高が前年比で2割も伸びて約770億円に達する勢いであることを踏まえると、利益面での足踏みは意外な結果に映るかもしれません。
この「営業利益」とは、企業が本業である事業を通じて稼ぎ出した利益を指し、その企業の稼ぐ力を示す非常に重要な指標です。今回の決算で売上高が大きく伸びた背景には、2020年の東京五輪を目前に控え、年度内の竣工を目指す大型プロジェクトが集中している状況があります。特に建築部門では、観光需要の増加を見込んだ大規模なホテル建設などが着実に進捗しており、現場の活況ぶりが数字にも表れた形でしょう。
一方で、利益が伸び悩んだ背景にはいくつかの要因が重なっています。まず建築工事の一部で、資材価格や労務費の変動などにより、売上に対する利益の割合を示す「利益率」が低下したことが影響しました。さらに、前年の同じ時期に計上されていた不動産売却による一時的なプラス要因がなくなったことも、数字の上では前年並みに留まった要因の一つと言えるでしょう。
これに対し、道路建設などを手掛ける土木事業は極めて堅調な推移を見せています。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の一部区間といった国家的なインフラ整備が順調に進んでおり、こちらは前年と同程度の高い収益性を維持している模様です。SNS上では「五輪前の駆け込み需要で忙しそうだが、人手不足によるコスト増が利益を圧迫しているのではないか」といった、業界の先行きを鋭く分析する声も上がっています。
今後の展望については、2020年03月期通期の業績予想を据え置く方針だと見られています。通期では売上高3750億円、純利益176億円を目指す計画ですが、建設業界全体が直面している「人件費の高騰」という課題をどう克服していくかが鍵になるでしょう。現場のDX化や効率化が進むなかで、西松建設がどのような独自色を打ち出していくのか、投資家からの熱い視線が注がれています。
編集者の視点から言えば、売上高が2割増という驚異的な伸びを見せている点は、同社の施工能力の高さと信頼の証といえます。利益率の低下は一時的な調整局面である可能性も高く、五輪後の「ポスト2020」を見据えた次の一手こそが、真の評価を左右するのではないでしょうか。目先の数字に一喜一憂せず、堅実な土木事業を軸にした事業構造の強靭化に期待したいところです。