国内最大手のセメントメーカーである太平洋セメントは、2019年08月01日付で、同社の海外戦略における極めて重要な人事異動を決定しました。今回、中国市場を統括する「太平洋水泥中国投資」の新たなリーダーとして、取締役兼常務執行役員の田浦良文氏が董事長(とうじちょう)に就任することが発表されています。
「董事長」という言葉に馴染みがない方も多いかもしれませんが、これは中国の企業組織において最高責任者である「会長」や「代表取締役」を指す役職です。海外事業本部長として手腕を振るってきた田浦氏を、巨大な需要が見込まれる中国拠点のトップに据えた点からは、同社がアジア圏でのシェア拡大に並々ならぬ意欲を燃やしている様子が伺えるでしょう。
このニュースに対し、SNSなどのネット上では「国内需要が頭打ちの中で、海外へのシフトは賢明な判断だ」「エース級の役員を現地に送ることで、意思決定のスピードが上がるのではないか」といった、経営戦略の先鋭化を評価する声が目立ちました。一方で、米中貿易摩擦が激化する2019年現在の情勢において、中国への注力を不安視する慎重な意見も散見されます。
私個人の見解としては、このタイミングでの人事刷新は攻めの姿勢を感じさせる非常にポジティブな一手だと考えています。環境規制が厳しさを増す中国のセメント業界では、高度な技術力を持つ日本企業の存在感は増すばかりです。田浦氏の経験とリーダーシップが、今後の太平洋セメントの国際競争力をどこまで押し上げるのか、その手腕に大きな期待がかかります。