戦後最長でも「実感なき景気拡大」の正体とは?2019年10月の消費増税を前に注視すべき経済の曲がり角

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日本経済は今、戦後最長といわれる景気拡大期の真っ只中にあります。しかし、私たちの日常生活においてその恩恵を肌で感じる機会は驚くほど少ないのではないでしょうか。統計上は右肩上がりの数字が並んでいても、国民一人ひとりの生活実感が伴わない「実感なき回復」が続いているのが、2019年現在の偽らざる現状だといえるでしょう。

2019年08月02日時点の分析によれば、今回の景気拡張期における実質GDP(国内総生産)の伸び率は、過去の好景気と比較しても極めて低い水準に留まっています。実質GDPとは、国内で生産されたモノやサービスの付加価値から物価変動の影響を除いた指標のことですが、この数字が跳ね上がらない限り、社会全体が豊かになったという実感が湧きにくいのは当然のことかもしれません。

SNS上でも「景気が良いのは大企業だけで、給料はちっとも上がらない」といった悲痛な声が散見されます。実際に景気の動きをリアルタイムで示す「一致指数」の推移を眺めてみると、他の拡張期に比べてその上昇幅はほぼゼロに近い状態です。このデータは、現在の経済状況がいかに脆く、勢いに欠けるものであるかを如実に物語っていると私は考えます。

忍び寄る景気後退の影と消費増税の影響

さらに懸念されるのが、消費者のマインドが冷え込んでいる点です。人々の購買意欲や先行きの明るさを示す指標が低迷している背景には、将来への不安や家計の余裕のなさが根深く横たわっています。企業側の景況感、つまりビジネスの現場における「景気の肌感覚」も、足元では下落傾向に転じており、楽観視できない局面を迎えているのです。

こうした状況下で、2019年10月01日には消費税率の引き上げが予定されています。景気が十分に加速していない中での増税は、消費をさらに冷え込ませる劇薬となるリスクを孕んでいるでしょう。せっかく積み上げてきた緩やかな回復の火が、この転換点を境に消えてしまい、景気後退へと足を踏み入れてしまう可能性について、私たちは細心の注意を払う必要があります。

私自身の見解としては、数字上の「最長記録」という言葉に惑わされることなく、家計の購買力や企業の投資意欲といった内需の底力を直視すべきだと確信しています。華やかな統計の裏側で、実体経済が悲鳴を上げている可能性を忘れてはなりません。今はまさに、景気の山を越えて下り坂に入るかどうかの重大な分岐点に立たされていると言っても過言ではないはずです。

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