2024年9月現在、投資信託市場で商品の選別が進み、中長期的な資産形成を重視する流れが鮮明になっています。その象徴として、長年人気を誇ってきた「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(グロイン)」が、2024年8月末時点で純資産総額ランキングのトップ10から外れたことが注目されています。この動きは、毎月分配型投資信託への需要が低下し、複利効果を重視する中長期志向が高まっていることを示しています。
QUICK資産運用研究所によると、グロインがランキングのトップ10から外れたのは2012年12月末以来、実に約12年ぶりのことです。グロインは、電力や通信などの公益関連企業の株式に投資し、高配当利回りを追求する商品として、安定した分配金を提供してきました。販売開始から約20年の実績を持つこのファンドは、2007年のピーク時には純資産総額が2兆円台後半に達し、2019年から2020年にかけては残高ランキングで首位を記録したこともあります。
しかし、近年では毎月分配型投資信託が敬遠される傾向にあります。毎月分配型は安定した収入を得られる点で一部の投資家に支持されてきましたが、分配金が再投資されないため複利効果を得られず、中長期的な資産形成には不向きとされます。このため、特に若年層を中心に、コスト効率の良いインデックスファンドや長期的な資産成長を目指す投資商品への移行が進んでいます。
SNSでは、「分配金よりも資産を育てたい」「複利の力を活用する時代」といった声が見られ、投資スタイルの変化を歓迎する意見が多く寄せられています。一方で、安定した収益を重視する高齢者層からは、毎月分配型商品の減少を惜しむ声も一部上がっています。
この変化は、個人投資家が短期的な収益よりも中長期の資産形成を重視し始めている証拠とも言えます。金融教育の普及や投資環境の多様化により、今後ますます中長期志向の投資信託が主流となる可能性が高いでしょう。投資信託市場の潮流がどのように進化していくのか、引き続き注目されます。