2024年9月2日の東京株式市場では、アップルとの関連性が深い銘柄への買い注文が集中し、特に電子部品関連株が軒並み上昇しました。代表的な銘柄である村田製作所は一時、前営業日比で4%高となり、1カ月ぶりの高値を記録しました。この動きの背景には、アップルが近く人工知能(AI)を搭載した新型スマートフォン「iPhone 16」シリーズを発表するという期待があり、これにより関連企業の収益拡大が見込まれていることが挙げられます。
同日、日東電工も一時3%高となり約1カ月ぶりの高値をつけ、京セラも2%上昇するなど、日経平均株価がわずか0.1%高と横ばい圏にある中で、関連銘柄の好調ぶりが際立ちました。アップルは9月10日(日本時間)に開催するイベントで「iPhone 16」シリーズを発表すると見られています。同社は2024年6月にAIサービス「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」を発表しており、この新機能が次期スマートフォンに搭載されるとの観測が市場の注目を集めています。実際、アップルの株価は「Apple Intelligence」発表前の6月7日以降、16%上昇しており、投資家の期待の高さを物語っています。
この新型スマートフォンが好調に売れれば、裏方として高性能な電子部品を供給している日本企業にも追い風が吹くとされています。村田製作所はスマートフォン向けのコンデンサーや高周波通信部品を提供しており、「AI搭載によりスマホ1台当たりに使われる電子部品の数が増加する可能性がある」と東海東京インテリジェンス・ラボの清田涼輔シニアアナリストは指摘しています。
また、日東電工については、SMBC日興証券の宮本剛シニアアナリストが「新製品の売れ行きが好調であれば、ハイエンドスマートフォン向けの回路材料や保護フィルム、粘着シートの収益拡大が期待され、業績にプラスに働くだろう」と述べています。
これまで、スマホ市場は買い替え需要の低迷により関連銘柄への波及効果が限定的だったとされていますが、今回はAIが引き起こす「産業革命の再来」という期待が投資家心理を押し上げているようです。野村証券の神谷和男ストラテジストは「AIによる産業革命への期待が投資家の背中を押している」とコメントしており、アップルの次期製品が市場全体に与える影響の大きさがうかがえます。
SNSでは「AI搭載スマホが電子部品需要を押し上げるかも」「村田や日東電工など日本企業への恩恵が期待できそう」といった声が上がっており、投資家や市場参加者の間で注目度が急上昇しています。次期「iPhone 16」の成功が、日本の電子部品メーカーにどのような追い風をもたらすのか、その動向がますます注目されます。