野村総合研究所が牽引するIT関連株の上昇—DX需要と賃上げの波が生む成長期待

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IT関連株に再び資金が流れ込み、その代表格として野村総合研究所(NRI)が注目を集めています。同社の株価は2024年8月27日に5022円と2022年1月以来の高値を記録し、上場来高値に迫る勢いです。この背景には、新型コロナウイルス禍以降に急増したデジタル需要があり、投資家からの買い注文が断続的に続いています。8月2日時点で同社の株価は2019年末比で2.1倍となり、同期間で6割上昇した日経平均株価を大きく上回っています。

NRIの強みは、大手金融機関に提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティング力にあります。特にリテール証券会社向けの基幹システム「THE STAR」は、40年以上にわたる開発とアップデートを重ねており、業界標準として広く導入されています。新しい少額投資非課税制度(NISA)の導入に伴い証券業界が活性化していることも追い風となり、2025年3月期には連結純利益が880億円と4年連続で最高益を更新する見通しです。

アライアンス・バーンスタインの陶志遠シニア・リサーチ・アナリストは、ITやコンサル業界への資金流入を指摘し、「労働集約型でありながら、需要の強さがコスト上昇を補っているため、利幅が圧迫される兆候が見られない」と分析しています。

一方で、足元の賃上げは企業にとって持続的なコスト増加を意味します。特に資源高や円安を背景に、物価上昇と人手不足が相まって賃上げ機運が広がっています。日銀が算出する「企業向けサービス価格指数」によれば、2024年7月の指数は前年同月比2.7%上昇し、過去10年で最も高い水準に達しました。

こうした賃上げの波が企業間の格差を拡大させる可能性もあります。外食業界はその象徴的な例で、吉野家ホールディングスの2024年3~5月期の売上高営業利益率は1.9%と前年同期比で1.3ポイント低下しました。その要因の大部分が人件費の上昇によるものでした。

日本経済はデフレからの脱却を進め、企業が適正な利潤を確保するための値上げが徐々に受け入れられるようになっています。BtoB(企業間取引)ビジネスで見られる好循環が、BtoC(消費者向け)市場にも波及するかどうかは、今後の日本株の中長期的な成長を左右する鍵となるでしょう。

SNSでも「DX需要でNRIが再び躍進」「日本経済の新たな成長局面に期待」といったコメントが増えており、投資家や市場参加者の間で関心が高まっています。この好循環がさらに広がるのか、注目されるところです。

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