2019年6月、日本の空の玄関口から世界へ飛び立つ全日本空輸(ANA)の国際線機内食に、福井県の老舗企業が製造する特製ソースが採用され、大きな話題となっています。採用されたのは、福井県大野市に拠点を置く**丸城清酢(まるじょうせいす)**の「ソースカツ丼用ソース」です。このソースは、2019年6月1日から30日の間に日本を出発し、欧米へと向かうエコノミークラスの機内で提供される「福井県産ソースカツカレー」に使われることになりました。ANAはこのメニューを最大で4万7千食提供する見込みであり、多くの旅行客に福井の味が届けられることになります。
今回のメニュー採用は、ANAが日本各地の特産品を機内食や空港ラウンジで紹介する地域創生プロジェクト「Tastes of JAPAN by ANA」の一環です。2019年6月は、東海・北信越地域が特集されており、その地域色豊かな食の魅力にスポットが当てられています。機内食の枠を超えて、地域の食文化を世界に発信するこの企画は、私たち乗客にとっても、旅の始まりから日本の魅力を再認識させてくれる素晴らしい試みと言えるでしょう。
老舗の挑戦:カツ丼ソースが機内食に選ばれる理由
丸城清酢は、1879年(明治12年)に創業した歴史ある企業で、もともとは「酢」の製造を祖業としています。しかし、2005年からは、福井県の郷土料理として知られる「ソースカツ丼」に着目し、その専用ソース「味力(みりょく)」を開発・販売してきました。ソースカツ丼とは、一般的にご飯の上に薄く叩いたカツを載せ、甘辛いソースをかけた料理を指しますが、特に福井では、ご飯とカツの相性を最大限に引き出す、独特のウスターソース系のさらりとしたソースを用いるのが特徴です。丸城清酢のソースは、まさにこの福井の味を支える逸品であり、そのこだわりが今回、ANAの厳しい品質基準をクリアし、国際線の機内食に採用される決め手になったのでしょう。
丸城清酢の4代目である城地誠喜専務は、「地域の特色を生かした商品が世界中を飛んでくれるのはうれしい」と、喜びのコメントを寄せられています。この言葉には、地元への強い愛着と、自社製品がグローバルな舞台で評価されたことへの誇りが込められているように感じます。機内食という限られた環境の中で、いかに「福井の味」を忠実に、かつ多くの人に美味しく感じてもらえるか。その挑戦に、老舗の技術と情熱が詰まっています。
SNSでの大きな反響:機内食への期待と地域活性化への貢献
このニュースは、SNSでも大きな反響を呼んでいます。特に福井県出身者やソースカツ丼のファンからは、「あのソースカツ丼の味が世界に広がるのは嬉しい」「機内でソースカツカレーが食べられるなんて羨ましい」といったポジティブな声が多く見受けられました。また、「ANAの地域応援企画は本当に素晴らしい」「旅行前から地域の魅力が伝わる」など、ANAの取り組み自体を評価する意見も目立っています。機内食としての「ソースカツカレー」というユニークな組み合わせも注目を集め、長時間のフライトにおける楽しみの一つとして期待されている様子が伺えました。
私見ですが、今回の採用は単なるメニューの追加に留まらず、地方の隠れた名品が持つポテンシャルを示す事例と言えるでしょう。福井県を代表するソウルフードの味を支えるソースが、世界を巡る航空会社の信頼を得たことは、製造元である丸城清酢にとって大きなブランドイメージ向上に繋がります。また、機内食を通じて福井の食文化に触れた旅行客が、将来的に福井県を訪れるきっかけになる可能性も秘めています。ANAの翼に乗って飛び立った「福井の味力」は、地域の活性化という大きな夢も乗せて、世界を巡っているのです。