生成AI需要で加速するSSDとHDD価格上昇、2024年の最新動向

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2024年9月、パソコンやサーバーに欠かせない記憶装置であるソリッド・ステート・ドライブ(SSD)の価格が、4四半期連続で上昇しました。7~9月期の大口取引価格では、SSDの主流モデルであるトリプル・レベル・セル(TLC)256ギガバイト品が1個あたり36.1ドル前後、512ギガバイト品では67.7ドル前後となり、いずれも前期比で約10%の値上がりを記録しました。特に256ギガバイト品は、1年前と比べて約50%の上昇となり、2021年10~12月期以来の高値水準に達しています。この背景には、生成AI(人工知能)の学習や推論に使用されるAIサーバー向けの需要拡大があり、大手デバイスメーカーが高値でSSDを調達していることが影響しています。

SSDはデータの長期保存に利用される記憶装置で、特にAIサーバーでは大量のストレージが必要です。そのため、SSDメーカーがAI用途に生産をシフトしているとエレクトロニクス商社の幹部は述べています。一方で、AIサーバー以外の分野ではSSD価格を押し上げる要素は少なく、PC向け需要は依然として弱い状態です。通常、PC需要が高まる10~12月期を前に7月ごろから調達が活発化しますが、国内のPC市場は2024年4~6月期以降、停滞しています。これにより、PC向けSSDの購入意欲は依然として低調であると、大手PCメーカーの調達担当者も語っています。

SSDの価格上昇には、主要部材であるNAND型フラッシュメモリーの供給動向も関係しています。NANDフラッシュはデータの長期保存に使われ、SSDの構成部品として重要な役割を果たしています。日本のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が2024年7月に約1年8か月ぶりに減産を解除したことで、市場への供給量が増加しました。しかし、需要が全般的に追いついていないことから、10~12月期の価格上昇率は鈍化する可能性が高いとされています。

また、HDD(ハードディスクドライブ)の価格も上昇しています。7~9月期の大口取引価格では、デスクトップPCや監視カメラに使われる3.5インチ1テラバイト品が前期比1%高の50.0ドル前後、ノートPC向けの2.5インチ1テラバイト品も1%高の47.4ドル前後となっています。調査会社テクノ・システム・リサーチの見通しによると、10~12月期のHDD出荷台数は、7~9月期比で1%増の3263万台となる見込みです。

SNS上でも、この価格上昇に対する反響は多岐にわたっています。「AI需要による価格上昇は予想以上」「PCユーザーには厳しい時代」といった声が見られる一方で、「生成AI時代に欠かせないSSD、投資価値が高い」といったポジティブな意見もあります。AIの進展が記憶装置市場に及ぼす影響は、今後も大きな注目を集め続けるでしょう。

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