2024年9月現在、米国の半導体大手エヌビディアの成長が止まりません。同社は、生成AI(人工知能)の開発や活用に欠かせない半導体市場で世界シェアの約8割を占めており、この分野での需要急増を追い風に、驚異的な業績を記録しています。8月28日に発表された2024年5~7月期の決算では、売上高が前年同期比2.2倍となる300億4000万ドル(約4兆3400億円)に達し、これで5四半期連続の売上倍増となりました。
この背景には、アマゾン・ドット・コムやグーグルといった米国のIT大手による大規模な設備投資があります。対話型AI「ChatGPT」の成功に刺激され、各社がAI開発への支出を一気に拡大させたのです。その結果、エヌビディアの主要製品である画像処理半導体(GPU)の売上に占めるクラウド企業向けの割合は45%にまで上昇しました。グーグルのスンダー・ピチャイCEOが7月の決算説明会で「過小投資のリスクは過大投資よりも深刻だ」と語るように、大手各社は積極的な投資姿勢を崩していません。この流れが続く限り、エヌビディアに追い風が吹き続けるでしょう。
投資家たちもこうした市場の状況を評価しており、エヌビディアの株価は2024年初頭から2倍以上に跳ね上がっています。この上昇率は、ハイテク株が多く含まれるナスダック総合株価指数の約20%の上昇率を大きく上回るものです。ただし、AI分野への投資回収が長期化するとの見方が広がると、割高感が意識される可能性も否めません。
一方で、中期的な注目ポイントとして、エヌビディアへの競争がますます激化している点が挙げられます。クラウド大手企業はAI半導体の自社開発に乗り出しており、半導体メーカーのアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)なども競争力強化を急いでいます。さらに、生成AIの開発フェーズが落ち着けば、その利用に特化したスタートアップ企業の製品が台頭し、新たな商機が生まれるでしょう。
SNSでは、「エヌビディアの成長はまるでAI時代の象徴」「このままではライバル企業が置いて行かれる」といった声が多く見られ、AI市場における競争の激化に注目が集まっています。生成AIの進化がもたらす半導体需要の急拡大は、エヌビディアだけでなく、競合他社や新興企業にとっても大きな成長のチャンスと言えるでしょう。未来を形作るこの市場で、どの企業が覇権を握るのか、その行方はますます目が離せません。