日本競泳、パリ五輪での苦戦と未来への提言:視線を高く、世界を見据える挑戦を

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2024年のパリ五輪で、日本競泳陣が獲得したメダルは、松下知之選手が男子400メートル個人メドレーで手にした銀メダル1つにとどまりました。この結果は、1996年アトランタ五輪以来の不振として注目を集めていますが、ある程度予想通りの結果でもありました。

今回の不振は、1つの要因だけに起因するものではないでしょう。新型コロナウイルスの影響で国際大会への出場機会が減少し、選手たちが十分な国際経験を積めなかったことも考えられます。また、ジュニア世代を含めた育成方針の再検討も必要かもしれません。

現地で取材をして感じたのは、チーム全体の一体感の欠如でした。大会最終日の女子メドレーリレー決勝では、出場していない選手たちが観客席から応援する姿が見られたものの、その人数はさほど多くはないように感じられました。一部選手が新型コロナに感染していたという事情もあるようですが、それ以上にチーム全体で「戦う」という意識が薄かったのではないかと感じます。

インタビューで選手たちと話していて気になったのは、彼らの視線の低さです。「金メダルを含む複数メダルの獲得」や「全員が決勝進出する」というチーム目標が掲げられていたものの、それを本気で自分ごととして捉えていた選手がどれほどいたでしょうか。五輪という世界最高峰の舞台で、戦う意識ではなく発表会のような姿勢で臨んでいるようにも見えました。

一昔前は、北島康介さんや松田丈志さんのようなカリスマ的メダリストがチームを牽引し、「自分こそが金メダルを獲るんだ」という強い野心をチーム全体が共有していました。しかし今回は、そのようなリーダーシップや情熱を感じることが難しかったのです。

それでも希望はあります。世界の競泳レベルが極端に上がったわけではなく、日本記録レベルのタイムを出せばメダルに手が届く種目も多い状況です。したがって、「世界が遠くに行ってしまった」と悲観的になる必要はありません。むしろ、選手、コーチ、トレーナー、連盟、そしてメディアを含めた競泳に関わるすべての人が、自分たちにできる改善を一つずつ見つけていくことが重要です。

高校生や大学生が国内の大会で結果を残すことは大切ですが、それと同時に「世界トップのレベルはこうだ」という現実を伝え、視野を広げ、目線を高く持つことが不可欠です。これこそが、4年後の挽回に向けた最初の一歩になるでしょう。

SNSでは、「視線の低さは気になっていた」「日本競泳の再起に期待したい」といった意見が多く見られ、競泳ファンの間でも今後の改善に注目が集まっています。パリ五輪の結果を糧に、日本競泳が再び世界の舞台で輝く日を心から願っています。

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