【独自分析】2019年5月 九州・沖縄の企業倒産動向!件数増加と「負債半減」の衝撃的ギャップを徹底解説

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2019年6月7日、東京商工リサーチ福岡支社と帝国データバンク福岡支店から、2019年5月度の九州・沖縄エリアにおける企業倒産動向が公表されました。その数字には、一見すると相反するような、非常に興味深い傾向が浮かび上がっています。企業の倒産件数は増加傾向を見せている一方で、その負債総額は統計開始以来の低水準に迫るほどの大幅な減少を記録しているのです。この「件数増加」と「負債半減」という二つの顔を持つ動向は、地域の経済状況を読み解く上で、決して見過ごせないポイントとなるでしょう。

まず、倒産件数に着目してみましょう。東京商工リサーチ福岡支社が発表した、負債額1,000万円以上の倒産件数は、前年同月比で7%増の59件に上りました。一方で、帝国データバンク福岡支店が公表した、法的整理(破産や民事再生など、法律に基づいた倒産手続き)のみを対象とした件数は、前年同月比4%減の49件でした。この件数のバラつきは、統計の定義の違いによるものですが、少なくとも倒産手続きに入った企業の数は、高止まり、もしくは微増傾向にあることが推測されます。SNS上では「やはり景気の先行きは不透明なのか」「特に小規模事業者の体力が限界なのでは」といった、景況感への懸念を示す声が散見されました。

しかし、倒産件数の増加とは裏腹に、負債総額は驚くべき水準にまで縮小しています。東京商工リサーチの統計では、負債総額は前年同月比で37%減の47億5,300万円でした。さらに帝国データバンクの統計では、負債総額が前年同月から半減し、わずか29億6,800万円という数字が示されています。これは、現行の統計を取り始めた2000年以降で比較しても、2017年7月に記録した最少額に次ぐ少なさで、極めて異例の低水準と言えるでしょう。この事実は、倒産した企業一社あたりの負債額が非常に小さい、すなわち小規模倒産の比率が高いことを示唆していると考えられます。

💡「小規模倒産」時代の到来か?編集部が考察する経済の深層

このデータを分析するに、私は「小規模倒産時代の到来」という、九州・沖縄経済の新たな局面に立っているのではないかと考えています。件数が増加しているにもかかわらず負債総額が大幅に減少しているのは、倒産する企業の多くが、負債規模の小さい零細企業や個人事業主である可能性が高いからです。これまでの大型倒産が地域経済に与える影響は深刻でしたが、現在は、より広範な層の小規模な事業者が、経営環境の変化や後継者不足といった問題に直面し、事業の継続を断念している状況がうかがえるのです。

大規模な負債を抱える企業が破綻すると、金融機関やサプライヤーへの連鎖的な影響が懸念されますが、小規模倒産が中心であれば、個々の経済への影響は限定的になる場合があります。もちろん、一つひとつの廃業には、雇用や地域コミュニティへの痛みが伴います。しかし、このデータは、デフレ経済下で負債を過度に膨らませない堅実な経営が、多くの小規模企業に浸透していた結果の表れとも解釈できます。経営不振が深刻化する前に、負債が小さいうちに事業を畳むという「早期の損切り」を選択する企業が増えているのかもしれません。今後、この「小規模倒産」のトレンドが一時的なものか、あるいは新たなスタンダードになるのか、引き続き注視していく必要がありそうです。

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