スズキ出資の農業スタートアップ、エムスクエア・ラボがインド進出 イチゴ栽培や食材貿易で事業拡大へ

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スズキが出資する農業スタートアップ、エムスクエア・ラボ(静岡県牧之原市)がインド市場に本格参入し、農業や食材貿易の分野で事業を拡大します。拠点となる現地法人を経済都市ムンバイに設立し、高地でのイチゴ栽培や日印間の食材輸出入に取り組む計画です。さらに、ロボット技術やIoT(モノのインターネット)を活用し、生産効率の向上を図ることで、インドの農業発展を後押しします。

エムスクエア・ラボは2024年7月までにスズキに対する第三者割当増資を実施し、財務基盤を強化しました。現在、インド現地法人「エムスクエア・ラボ バーラト(バーラトはサンスクリット語でインドを意味する)」の登記手続きを進めており、資本金約1,000万円のほぼ全額を出資する子会社として設立予定です。加藤百合子社長がCEOを務め、インド人役員2人とともに事業を本格稼働させる方針です。

まずは、インド国内での食材輸出入の実績を積みながら、農業分野での成長を目指していきます。特に収益性の高いイチゴ栽培に注力し、ムンバイ近郊やヒマラヤ山麓の標高1,000メートル以上の高冷地など3か所で試験栽培を計画。初年度は約400平方メートルの農地で1,800株を育て、成功すれば3年以内に面積を約10倍の4,000平方メートルに拡大し、本格事業化を目指します。インド国内の気候差や標高差を活かして通年出荷できる体制を整え、日本の甘くて大粒なイチゴの栽培技術を導入し、付加価値を高めていく方針です。加えて、スズキと共同開発した自律走行ロボット「モバイルムーバー」も導入し、作業効率を飛躍的に向上させる計画です。

インド農業は綿花や穀類などの大規模生産が主流ですが、小規模農家では「小型の機械を数多く活用する農業スタイルが好まれる」(加藤社長)ことから、ロボットの普及にも大きな可能性があると見ています。イチゴ以外の作物でもモバイルムーバーを活用し、除草や農薬散布などの作業を効率化するほか、IoTによる遠隔管理や病害虫対策、農業指導の支援も進める方針です。

食材の輸出入では、日本からインドへ静岡県産の抹茶やリンゴなどを供給し、インドからはスパイスやマンゴー、バナナといった果物を輸出する計画です。まずは許認可を取得次第、常温保存が可能な加工食品から取り扱いを開始し、事業を拡大していきます。インドでは日本食への関心が高まりを見せており、日本国内でもインドIT人材の受け入れが進む中で、本格的なインド料理を再現するためのスパイスや食材の需要が増しています。

ただし、インド政府はコメの輸出に慎重な姿勢を示しているため、エムスクエア・ラボは静岡県牧之原市の協力のもと、インディカ米とジャポニカ米を交配した「プリンセスサリー」の試験栽培を開始しました。成功すれば、地元農家と連携して生産規模を拡大し、新たなビジネスチャンスを生み出す計画です。

今回のインド進出は、スズキがインドの自動車市場でトップシェアを誇るネットワークを活かし、ベンチャーファンドを通じて社会起業家を支援する取り組みにも連動しています。エムスクエア・ラボは、5年後にはインドでの売上を現在の年商を超える10億円以上に引き上げることを目標に掲げており、今後の成長に注目が集まるでしょう。

SNSでは「日本の農業技術がインドでどんな変化を生むのか楽しみ」「イチゴの輸出だけでなく、スパイスの輸入にも期待」「ロボット技術を活用したスマート農業の未来が広がる」といった声が寄せられています。エムスクエア・ラボの挑戦が、インド農業の発展と日本の食文化の多様化にどのような影響をもたらすのか、今後の動向が注目されます。

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