🔥米中貿易戦争の火種!中国が切り出した「元安カード」の真意と為替操作国認定をめぐる神経戦【2019年6月】

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2019年6月12日、米中間の貿易摩擦が激化する中で、中国が人民元を対米交渉の「カード」として再び活用し始め、国際市場に大きな波紋を広げています。具体的には、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁が人民元のレート下落を容認するような発言をしたことを受け、元の対ドル相場は「1ドル=7元」という心理的な節目を試す展開へと突入しているのです。これは、トランプ米政権が検討している、中国からの全輸入品への追加関税(いわゆる「第4弾」)の発動を牽制する狙いがあると見られています。この動きは、同月末に大阪で開催されるG20サミットを前に、米中間の緊張感をさらに高める「神経戦」の様相を呈していると言えるでしょう。

易総裁は6月7日、米メディアのインタビューに応じ、「具体的な(為替の)数字がより重要だとは思っていない」と述べ、市場で「防衛ライン」と目されていた1ドル=7元の水準に対するこだわりを否定しました。さらに「人民元の柔軟な相場形成は有益だ」と発言し、為替レートの変動幅の拡大に前向きな姿勢を示したのです。この発言を受けて、同日の海外市場では、元相場が一時1ドル=6.96元台まで下落し、約7カ月ぶりの安値を記録しました。これまで人民銀は、潘功勝・副総裁が「元は合理的な水準で安定を保てる」と発言するなど、急激な元安進行に「クギ」を刺してきた背景がありますから、外資系銀行など市場関係者の間では「中国は容認する元安水準を切り下げたのではないか」との観測が瞬く間に広がり、動揺が走っている様子が窺えます。

元安誘導がもたらす効果とリスク

中国が元安誘導の姿勢を見せる背景には、米国の高関税措置の悪影響を和らげるという明確な意図があります。もし人民元が安くなれば、中国の輸出企業はドル建ての販売価格を事実上引き下げる余地が生まれ、関税によるコスト増を一定程度相殺できるからです。ドナルド・トランプ米大統領は6月10日にも、「米中首脳会談が月内に実現しなければ第4弾を発動する」と中国側に譲歩を迫っており、中国側はこの「元安カード」で対抗しようとしているのです。トランプ大統領は「中国は長年にわたって通貨安誘導をしている」と公然と不満を表明しており、この問題が米中対立の新たな焦点となっていると言えるでしょう。

米中貿易戦争が本格化する前の2018年春と比較すると、足元の元相場は約1割も下落しており、上海社会科学院の周宇主任は「輸出や景気の下支えに一定の効果があった」と分析しています。ゴールドマン・サックスなどの大手金融機関が今後3カ月で1ドル=7.05元までの元安進行を予想していることからも、市場参加者の多くは、中国が米国との対立長期化に備え始めたと見ていることが分かります。私の意見としては、中国がすでに米国からの輸入品の約7割に報復関税を課しており、これ以上の関税引き上げでの対抗が難しい現状において、この「元安カード」は、希土類(レアアース)の輸出管理規制と並ぶ、中国にとって数少ない強力な「切り札」となっているように感じられます。

「為替操作国」認定をめぐる駆け引き

米国が中国を「為替操作国」に指定する可能性も、この神経戦の重要な要素です。為替操作国とは、自国の輸出競争力を高めるために、意図的に為替レートを安く誘導していると米国財務省に認定された国のことで、指定されると制裁の対象となります。米財務省は、公表を先送りしていた半期為替報告書を5月末に発表しましたが、この中で中国を為替操作国に指定するのを見送りました。今後6カ月かけて再検討することになっていますが、中国はこの「時間的な猶予」が与えられたと判断し、元相場の下落余地を「瀬踏み」している可能性も指摘されています。これが事実であれば、中国政府は国際的な批判を避けつつ、最大限の交渉力を確保しようという、非常に巧みな戦略を展開していると言えるでしょう。

市場の動揺とSNSの反響

しかし、過度な元安進行は、中国からの「資本流出」を誘発するという深刻なリスクと表裏一体です。資本流出とは、投資家が将来的な元安や経済の先行き不安から、中国国内の資産を売却し、米ドルなどの外貨に替えて国外に持ち出す動きのことを指します。実際、2019年5月には、海外投資家による香港を経由した上海・深セン市場の株式売買で、537億元(約8400億円)という、単月として過去最大の売り越し額が記録されました。1ドル=7元まで残された元安余地はわずか1%程度ですが、これが2008年以来11年ぶりの安値となる水準であるため、投資家への心理的な影響は非常に大きいと言えるでしょう。

この一連の報道に対し、SNS上では「ついに中国も為替を切り札にしてきたか」「7元割れは時間の問題」「貿易戦争から通貨戦争に発展してしまうのではないか」といった、国際情勢への懸念を示す意見が多く見られました。特に、中国の経済の不透明性や資本流出のリスクを指摘する声が目立っており、投資家やビジネス関係者の間で、この米中間の神経戦の行方を非常に警戒していることが分かります。この不安定な状況は、G20サミットでの米中首脳会談の結果が出るまで、市場のボラティリティ(変動率)を高め続けるでしょう。世界の経済は、この二大国の駆け引きから目が離せない状況にあります。

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