【シャープの挑戦】 優先株970億円を一掃!「負の遺産」を断ち切り成長資金確保へ舵を切る

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2019年6月11日、シャープは、経営再建の大きな節目となる発表を行いました。それは、かつて経営危機に陥った2015年に、主要取引銀行2行との間で債務を株式に振り替える形で発行した優先株(ゆうせんかぶ)について、残っている約970億円分を自己資金で買い入れて消却(しょうきゃく)するというものです。これは、業績不振の時期に生じた「負の遺産」を完全に解消する動きとして注目されています。

優先株とは、議決権がない代わりに、普通の株式(普通株)よりも優先的に配当を受け取れる権利を持つ特殊な株式のことです。シャープにとっては、利益が出るとその配当負担が重くのしかかるため、経営の自由度を高めるためにはこの処理が急務でした。台湾の鴻海精密工業(ホンハイセイミツコウギョウ)の傘下で着実に経営再建を進めてきたシャープは、この優先株の消却により、過去との決別を鮮明にしたと言えるでしょう。

この決定に対し、SNS上では「ようやく完全に経営再建したと言える」「ホンハイ傘下で短期間によくここまで持ち直した」といった、シャープの再建努力を評価する声が多く見受けられます。一方で、「970億円の資金が社外へ流出する」「自己資本比率が低下するのは大丈夫なのか」など、今後の財務状況や成長戦略について懸念を示す意見も一部で出ています。

実際、シャープは2019年1月にも約850億円分の優先株を消却しており、その影響で自己資本比率は2018年12月末の21.6%から2019年3月末には18.8%へと低下しています。自己資本比率とは、会社の総資産のうち、返済する必要のない自己資本が占める割合を示す指標であり、これが低くなると一般的に経営の安全性が低いと見なされます。しかしながら、みずほ銀行と三菱UFJ銀行が保有する優先株を全て消却することで自己資本はさらに減少する見込みですが、シャープは今後の利益の積み上げでこれを補っていく方針を明らかにしています。

「自力成長」への強い決意と課題

2019年6月11日に東京都内で開催された経営方針説明会において、戴正呉(たいせいご)会長兼社長は「経営の安全性には全く問題がない」と、自己資本の減少に対する懸念を一蹴しました。さらに、今後の成長戦略についても、「鴻海の資金に頼ることなく、シャープ自身が稼いだ資金で企業買収や投資を実行していく」という、自立的な成長を目指す強い決意を表明されました。この発言から、シャープが鴻海グループの一員としての安定を享受しながらも、独自の成長路線を追求していく姿勢が窺えます。

私見として、この「負の遺産」を一掃する決断は、シャープが真の復活を遂げるための必要不可欠なステップだと評価できます。しかし、過去のしがらみを断ち切った今、問われるのは「成長資金の確保」と「収益力のさらなる強化」です。シャープは2020年3月期の純利益を前期比8%増の800億円にするという見通しを立てていますが、米国と中国の間の貿易摩擦など、世界経済の急激な環境変化に対応し、この目標を達成し続けることが今後の最重要課題となるでしょう。

過去を清算し、新たなスタートラインに立ったシャープが、いかにして稼いだ資金を賢く投資し、グローバル市場での存在感を再び高めていくのか、その動向から目が離せません。日本を代表する技術企業として、今後の積極的な攻めの姿勢と、それを裏付ける収益の安定化に大いに期待したいところです。

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