脱プラスチック時代の新星!大王製紙が挑む紙製代替品市場の最前線

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昨今、地球規模で「脱プラスチック(脱プラ)」の動きが加速する中、製紙業界の新たな戦いが幕を開けました。大手製紙メーカーである大王製紙は、2019年6月12日、プラスチックの代替品として期待される原紙の製造・販売事業に新規参入することを発表しています。これは、紙の国内需要が縮小傾向にある製紙各社にとって、収益源を確保し、事業構造を改革する上で、極めて重要な一手となるでしょう。

大王製紙が開発したのは、その名も「エリプラペーパー」という厚紙です。この新素材は、最大1.1ミリメートルというしっかりとした厚さを持ち、食器としての利用に耐えうる十分な強度を確保しているのが特長です。まず、第一弾として、熊本市の菓子メーカーが紙製ナイフの材料に採用したほか、チョコレート菓子で有名なブルボン様の「もちもちショコラ」の紙製ピックにもすでに供給が開始されているとのことで、実用化が着々と進んでいる様子がうかがえます。

製造の鍵を握るのは、子会社である大日製紙の設備と技術です。同社が電子部品の保管・輸送に用いる「キャリアテープ」製造で培った、高密度で紙を作り上げる技術を応用しています。これにより、複数の紙を貼り合わせることなく、必要な厚みと強度を実現しています。この技術の優れている点は、穴を開ける際に切り口が毛羽立ちにくい高密度な紙を作り出せることにあります。この緻密な技術こそが、プラスチック代替品の品質を支える土台となるに違いありません。

大王製紙は、このエリプラペーパーをナイフ、マドラー、皿など、幅広い食器用途への活用を提案し、4年後には年間240トンという生産量を目指すとしています。さらに、衣服用のハンガーなど、食器以外の分野への応用も視野に入れており、その可能性は非常に大きいと言えるでしょう。2018年度の売上高5339億円のうち、紙・板紙事業が約6割の3165億円を占める同社にとって、この新規参入は事業拡大の起爆剤となることを期待しています。

紙の国内需要が減る逆風の中、大王製紙は2018年度から2020年度までの中期経営計画において、紙・板紙事業の構造改革を掲げています。具体的には、高収益が見込める梱包や包装用途の紙へと生産の軸足を移すことで、2020年度には紙・板紙事業の売上高を2018年度比で7%増の3400億円まで引き上げる目標を掲げています。この「脱プラ」市場への参入は、まさにこの目標達成に向けた戦略の中心に位置付けられるものでしょう。

世界が注目するプラスチック代替品市場の潮流

製紙企業の業績テコ入れ策として、今、最も注目されているのが、このプラスチック代替需要を取り込むことです。国連環境計画(UNEP)の資料によれば、世界のプラスチック年間生産量は2015年時点で約4億トンに上り、その大半が使い捨て容器や梱包材に使われています。世界的な環境意識の高まりを受け、この巨大な市場が紙製などの代替品へと急速にシフトしていくと予測されています。

すでに製紙業界の先行各社は、この新しい市場で活発な動きを見せています。例えば、北越コーポレーションはストローなどに使われる原紙を手掛けており、2019年度は前年度比2割増の2万4千トンの販売を見込んでいます。また、日本製紙は酸素や水蒸気を通しにくい、高いバリア性(透過を防ぐ性質)を持つ包装材向けの紙製素材を商用化しています。さらに、王子ホールディングスも同様の機能を持つ紙製素材を2019年度中に発売する計画を発表しており、競争は激化の一途をたどるでしょう。

SNS上でも、「紙製のストローは使い勝手が気になるけれど、環境のためなら応援したい」「紙製ピックはエコで見た目もおしゃれ」といったように、製紙各社の「脱プラ」への取り組みに対する期待やポジティブな反響が多く見受けられます。大王製紙は、先行する各社を追撃する形で、食器用途を主戦場として供給実績を積み重ねていく方針です。この競争は、単なる市場シェアの奪い合いではなく、地球環境への貢献という大義名分のもと、各社の技術力とアイデアが試される、意義深い競争だと考えられます。今後の大王製紙の活躍に心から期待を寄せるばかりです。

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