📦大打撃!中国輸出の失速で段ボール古紙価格が急落し在庫が過去最大級に:米中貿易摩擦と環境規制の波紋

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2019年6月12日現在、日本の段ボール古紙市場で深刻な価格低迷が続いており、業界に大きな懸念が広がっています。本来、段ボール古紙の国内需要は堅調に推移しているにもかかわらず、国内の需給バランスを調整する重要な役割を担っていた中国向け輸出の不振が響き、国内の在庫が急速に積み上がっているためです。この事態は、主に中国政府による環境規制の強化、そして世界経済を揺るがす米中貿易摩擦と中国経済の景気減速という、二つの大きな波によって引き起こされています。

この価格の落ち込みは数値にも明確に現れています。東京を中心とした古紙問屋が回収業者などから仕入れる「問屋買い取り値」は、現在1キログラムあたり8.5円程度で推移しています。これは、直近の高値であった2018年12月の12円と比較すると約7割という水準にまで下落しており、2019年2月中旬以来、4カ月連続で低迷から抜け出せていません。段ボール古紙の価格がこれほどまでに安値圏で張り付いている背景には、**「世界の工場」**たる中国の情勢が深く関わっているのです。

最大の原因は、やはり中国向け古紙輸出の劇的な停滞です。2018年の日本の段ボール古紙の発生量は約900万トンでしたが、そのうち2割弱にあたる約160万トンが中国へ輸出されていました。この中国輸出が、米中貿易摩擦の激化により大打撃を受けています。貿易摩擦の影響で中国からの対米輸出が激減した結果、製品を梱包するための段ボール需要も減少し、中国の製紙会社は減産を余儀なくされている状況です。日本からの対中輸出量も、2018年7月と比べ、2019年4月は66パーセントも減少した6万7,280トンにまで落ち込んでいます。

日本国内における段ボール古紙の在庫は増加の一途をたどっており、事態の深刻さが浮き彫りになっています。製紙業界と古紙問屋の在庫を収容できる能力は最大で150万トン程度とされていますが、2019年5月末までに在庫が160万トン近くに達した可能性も指摘されています。古紙問屋で構成される関東製紙原料直納商工組合は、この状況を受けて、2019年5月と6月の2カ月連続で段ボール古紙の輸出を見送るという異例の措置を取りました。これは、4月から5月にかけての大型連休で税関の業務が停止したことも重なり、国内の古紙在庫が急速に積み上がったためです。

古紙の卸問屋の社長は「海外に出すしか方策が見当たらない。採算度外視で出血輸出せざるを得ない」と、現在の危機感を強く訴えています。全国平均では、中国向けの段ボール古紙の6月積み輸出価格は1キログラムあたり10円を割り込み、2018年12月の直近高値の半分以下にまで下落しました。この状況を見る限り、段ボール古紙の市況は当面、安値圏で推移し続けることが予想されます。

世界を悩ませる中国の**「脱・古紙輸入」政策と、米中摩擦のダブルパンチ

中国の景気減速に加えて、古紙価格が上昇する兆しが見当たらないもう一つの大きな要因は、中国政府による環境対策です。中国政府は環境保護の観点から、2018年3月より、輸入古紙に混入が許される不純物の比率の上限を1.5パーセントから0.5パーセントへと厳格化しました。これは、リサイクル素材の品質を厳しく管理するクリーン・スカイ政策の一環とも言えるでしょう。さらに、2017年には2020年までに古紙の輸入を全面的に禁止する**という目標を打ち出しています。これを受け、中国国内では政府主導で古紙の回収率を高める取り組みが進められており、大都市ではもはやゴミとして捨てられる古紙を見つけることが難しくなりつつあるようです。

この中国の動きは、世界の古紙流通に大きな変化をもたらしています。これまで中国を主要な輸出先としていた欧米諸国も、行き場を失った古紙を「投げ売り状態」にしており、1キログラムあたり10円を下回る価格で東南アジアなどに輸出されている状況です。これは、古紙市場におけるグローバルな需給バランスが崩壊しつつあることを示しています。日本の古紙業者にとっても、これまで国内の価格を下支えしてきた輸出ルートが細ることで、収益への圧力が深刻化しています。

SNS上では、この状況に対し**「価格がここまで下がるとは」「リサイクルのコストが逆転しそう」**といった悲観的な意見が目立ちます。環境に配慮したリサイクルの推進は、持続可能な社会の実現のために不可欠です。しかし、今回の中国の環境規制と米中貿易摩擦の余波は、単なる古紙価格の問題に留まらず、段ボール原紙やシートといった、関連製品の価格押し下げ圧力をも高める可能性を秘めています。この状況に対し、私は、資源循環を担う古紙業界が、新たな輸出先の開拓や、国内での古紙利用率を高めるための技術革新など、多角的な戦略を速やかに打ち出す必要があると考えます。日本の古紙が持つ品質の高さを強みとして、この難局を乗り切るための新たな道を模索すべきでしょう。

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