「わくわく」を基準に!金沢大学が挑む、内向き志向を打破し学生の自立を促す革新的な就職支援戦略

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石川県の教育界で注目を集めているのが、金沢大学学生部就職支援室長の山本均氏が推進する、学生の就職活動における意識改革です。金沢大学では、学部の卒業生のうち約8割が石川県内の企業や自治体に就職するという「内向き志向」が強い傾向にあります。これは、学生が安定志向を持つため、文系学生の約3割が公務員を目指すといった具体的な数字にも表れています。

しかし、少子高齢化の進行や、AI(人工知能)の急速な発達といった社会情勢の変化は、これまでの「安定」の概念を根底から覆しつつあります。また、グローバルな視点で見ると、日本企業の相対的な地位も低下していると言わざるを得ません。真に安定した将来を築くためには、「どこに行っても通用するスキル」を個人が身につけることが不可欠であり、このスキルは、失敗を恐れずにチャレンジする経験を通じてこそ培われるというのが山本氏の考えです。

このような考え方に基づき、金沢大学は学生の選択肢を広げるための取り組みを積極的に展開しています。その一つが、県外企業との座談会や、社会で実際に働く経験を積む「インターンシップ」への参加を促し、学生に「外の空気」に触れる機会を増やすことです。また、学生の就職観に大きな影響を与えやすい保護者層に対しても、固定観念を覆すようなアプローチを行っています。

大学は、大学3年生の1月から2月にかけて、学生の実家に就職支援に関する書類を送付し、保護者へ協力を求めています。その中で強調されているのは、「公務員や地元企業への就職をむやみに期待しないで下さい」というメッセージです。さらに、「『自ら考え動く力=自立』を促すよう人生の先輩として学生を導いて下さい」と、少々過激とも聞こえる踏み込んだ表現で、親世代への意識改革を強く促しています。

この支援活動の根幹にあるのは、学生が「ねばねば(やらねばならないという義務感)」ではなく、心から没頭できる「わくわく」を基準に就職先を探せるようにサポートすることです。この「わくわく」こそが、学生に積極的な挑戦を促し、結果としてどこでも活躍できる真の自立した人材を育む原動力になると山本氏は確信しているのです。保護者に対しても、そのような視点での支援を依頼しています。

多様な価値観に触れ、就活の可能性を広げる大学の挑戦

大学は、今年度(2019年度)、学生が新しい価値観に触れられる就職活動関連のイベントを大幅に増やしています。具体的には、同年7月には、リクルートやサイバーエージェントなど、全国規模で事業を展開する企業の人事担当者や若手社員を大学に招き、学生との座談会などを企画する予定です。これにより、学生は普段接することのない企業文化や働き方に触れ、視野を大きく広げることができるでしょう。

さらに、企業と連携し、インターンシップを大学の学びの一環としてより深く生かす取り組みもスタートさせています。インターン(就業体験)へ参加する前の準備研修と、参加後の事後研修を大学側がしっかりと担当します。これにより、大学が学生のPDCA(計画・実行・評価・改善のサイクル)を支援し、学生にとって就業体験が単なるアルバイトではなく、実りの多い成長の機会となるよう力を入れているのです。

この就業体験は、学生が新しいチャレンジをするための大切なきっかけとなります。挑戦を通じて成長を実感する「わくわく」の気持ちが、失敗に対する恐怖心を上回るように、大学側も手厚いサポートを提供していく方針です。金沢大学においても、優秀な学生の中には県外のスタートアップ企業(革新的なビジネスモデルで急成長を目指す設立間もない企業)に就職するなど、外向き志向を持つ者が増えてきています。この数はまだ少数派ですが、失敗を恐れず、新たな環境に飛び込めるチャレンジ精神を養う価値観を、大学全体で醸成していきたいと考えているようです。

SNSでの反響と編集者の見解

山本氏のこのような就職支援に対する取り組みは、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。特に「ねばねば」ではなく「わくわく」を基準にするという考え方や、保護者へ向けた踏み込んだメッセージに対して、「就職活動の本質を突いている」「今の時代に必要な視点だ」といった肯定的な意見が多く見受けられました。一方で、「地方大学でいきなり全国規模の企業への就職を促すのは現実的ではないのでは」といった慎重な意見や、「公務員や地元企業を否定しているわけではない」といった誤解を懸念する声もあり、大きな議論を巻き起こしていると言えるでしょう。

私見を述べさせていただきますと、この金沢大学の取り組みは、現在の社会が求める「自立した個人」の育成という点で、非常に重要かつ革新的な試みであると思います。安定志向が強まる中で、「どこでも通用するスキル」を身につけることこそが真の安定に繋がるという山本氏の指摘は、まさしく現代の就職環境における核心を突いています。学生だけでなく、保護者の意識にもメスを入れるという方法は、伝統的な価値観が根強い地域において、大きな変革を起こすための強力な一手となるに違いありません。

金沢大学が目指す、失敗を恐れず、自らの「わくわく」を信じて行動できる人材育成は、日本の未来を担う若者にとって、最も必要な教育の一つであると強く感じます。この取り組みが、他の地域や大学にも波及し、全国的な就職支援のあり方が良い方向へ変わっていくことを期待したいものです。

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