埼玉県にお住まいの60代の女性から寄せられた、ご主人とのコミュニケーションに関する切実なお悩み。ご自身の考えが夫に伝わらず、つい感情的に「爆発」してしまうという相談は、多くの方が共感するのではないでしょうか。「どうして怒っているの?」と問い返す夫の「鈍さ」に苛立ちながらも、「時間をかければ分かってくれる」という現状に、この爆発を繰り返していて良いものかと悩んでいらっしゃいます。このお悩みに、著述家でプロデューサーの湯山玲子氏が、独自の視点で深く切り込んでいます。
湯山氏は、感情的に「キレる」行為を「恐ろしい暴力」と表現しています。怒りの原因が相手にとって理解不能な場合、それは単なる攻撃であり、その場を収めても、不快感は相手の心に澱(おり)のように積み重なっていくものです。そして、その理不尽な攻撃は、必ず「因果応報」として、最終的にはキレた本人に恐ろしい反動となって返ってくると警鐘を鳴らしています。特にキレる側が無自覚であるほど、その結果はより深刻になる可能性があると言えるでしょう。私自身の考えですが、人間関係は鏡のようなもので、相手に与えた感情は巡り巡って自分に返ってくるというのは、夫婦関係においても重要な法則だと思います。
ご相談者が夫の「鈍さ」を指摘している点について、湯山氏は、それは単に妻の意図を察する「忖度(そんたく)」ができない鈍さだけではない可能性を指摘されています。もしかすると、感情的に怒る妻に対し、正面から応じない夫側の「大人な対応」の裏返しであり、妻の感情的な「甘え」を許している状態なのかもしれません。他者に自分の気持ちや考えを完全に分からせるというのは、実は非常に難しいことです。長年の経験から湯山氏が語るように、時には「分かってもらおうとすること自体を諦めた方が、人間関係は良好になる」という境地に達することも、円滑なコミュニケーションを築く上での一つの現実的な選択肢なのかもしれません。
特に気になるのは、分かってくれない夫への「爆発」が、いつの間にかストレス発散の「快感」につながっている可能性があるという指摘です。これは、健全な夫婦関係においては決してフェアではないでしょうし、ご相談者自身の精神的な安定にとっても望ましくない状態と言えます。夫婦間での感情のやり取りが、一方的な「カタルシス(感情の浄化)」となってしまうのは、関係を蝕む危険な兆候だと私も感じます。
ですから、湯山氏からの提言は「今後は爆発はナシの方向で!」という明確なものです。感情の波が押し寄せた際には、まずは一度、深呼吸をすることが大切でしょう。感情的な衝動を理性的にコントロールするための専門知識である「アンガーマネジメント」の手法について解説した書籍は、現在数多く出版されています。ご相談者もそういった書籍を読み、ご自身の感情との向き合い方を変えていくことが推奨されます。この湯山氏の考えは、2019年6月8日付けの記事に掲載されたものです。
この記事へのSNSでの反響を見てみると、「感情的な爆発は暴力、という言葉が響いた」「夫に鈍いとキレる前に、自分の伝え方を見直すべきかもしれない」といった意見が多く見られます。また、「アンガーマネジメント」という専門用語に注目し、実践的な方法を求める声も目立ちました。この「アンガーマネジメント」とは、怒りの感情を適切に理解し、コントロールするための心理トレーニングや教育プログラムのことです。怒りを感じた際、反射的に行動するのではなく、6秒間待って対処法を選ぶといったテクニックが中心となります。感情を適切に扱うスキルは、夫婦関係だけでなく、あらゆる人間関係の質を高めるための重要な鍵と言えるでしょう。