2019年6月9日に投開票が行われた堺市長選挙は、大阪維新の会公認の永藤英機氏(42歳)が当選を果たすという結果になりました。これにより、大阪維新の会は、2度にわたり敗北していた堺市長選でついに勝利を収めたことになります。この劇的な勝利の背景には、「政治とカネ」の問題や、「大阪都構想」をめぐる市民の複雑な思いが交錯していたことが、日本経済新聞社などが実施した出口調査の結果から浮き彫りになっております。
今回の選挙は、前市長である竹山修身氏の政治資金問題による辞職に伴って実施されました。市民が優先して取り組んでほしい政策として最も多く挙げたのは**「医療福祉」の26.7%でしたが、次に「教育子育て」が16.5%で続き、そして「政治資金問題」が15.9%と高い関心を集めていたことが分かります。特に「政治資金問題」を優先課題と回答した有権者のうち、実に69%が永藤氏に投票しており、前市長の辞職理由となった「政治とカネ」に対する市民の厳しい視線が、維新側に強力な追い風をもたらしたと分析できるでしょう。
出口調査によると、永藤氏は自民党支持層の33.5%から票を得ており、さらに、2017年の前回市長選で竹山前市長に投票した層の24.6%が今回、永藤氏を支持しました。これは、本来「反維新」と目されていた支持層の一部を、大阪維新の会がしっかりと取り込むことに成功したことを示しています。この支持層の広がりが、長年の課題であった堺市長選での雪辱を果たす大きな要因になったと見て間違いありません。
一方、今回の選挙でも焦点の一つであった「大阪都構想」に関する意見は、市民の間で賛否が拮抗している状況でした。「大阪都構想」とは、大阪市を廃止して複数の特別区に再編する都市制度改革のことで、維新が掲げる主要な政策です。今回の調査では、将来的に堺市がこの都構想に参加すべきだと思うが47.2%に対し、参加すべきだと思わないが48.7%と、わずかに「思わない」が上回りましたが、その差は非常に小さいものでした。また、大阪都構想そのものへの賛否も、賛成49.2%、反対46.6%と、こちらも非常に近い数字で並び、市民の意見が二分されている状況が示されました。この「都市制度改革」を優先課題に挙げた有権者は10.2%に留まっており、市民の関心はそれ以外の政策分野にも分散していたようです。
この結果について編集者として意見を述べさせていただくと、永藤氏の勝利は、維新の政策そのものへの圧倒的な賛同というよりも、むしろ、前市長が引き起こした「政治不信」に対する市民の「改革待望論」**が強く作用した結果だと考えられます。特に「政治とカネ」の問題は、有権者の怒りや失望を招きやすいテーマです。維新側は、この市民感情を巧みに捉え、「改革」の旗手としてアピールできたことが、保守層や前市政への不満層の票の獲得につながったのでしょう。しかし、都構想への賛否が伯仲していることから、永藤新市長には、その是非をめぐる議論とは別に、市民が強く望む「医療福祉」や「教育子育て」といった身近な課題への取り組みを急ぎ、市民の信頼を確立することが強く求められるでしょう。
今回の出口調査は、日本経済新聞社、共同通信社、毎日放送の3社が合同で、堺市内の36投票所で実施し、投票を終えた有権者1,584人から回答を得たものです。このデータは、投票日の2019年6月9日時点での堺市民の声を正確に反映していると言えます。