【FIT抜本見直し】再生エネ主力化の鍵は「送電網」にあり?2019年からの電力大転換を解説

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2019年6月13日、経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、いわゆる「FIT」の抜本的な見直しに乗り出す方針を固めました。これまで日本の再エネ普及を牽引してきたFITですが、国民負担の増大という副作用も招いていましたね。今回の見直しは、その負担を抑えつつ、名実ともに再生エネを「主力電源」へと育て上げるための大きな転換点と言えるでしょう。ネット上のニュースやSNSでも、「やっと電気代の賦課金が下がるのか」「太陽光バブルの崩壊だ」といった、期待と不安が入り混じった反響が数多く寄せられています。

しかし、単に買い取り価格を下げればすべて解決する、という単純な話ではありません。実は、生み出した電気を消費地まで届ける「送電網」の整備こそが、最大のボトルネックになっているのをご存知でしょうか。どんなにクリーンな電気を作っても、それを運ぶ道がなければ無駄になってしまいます。今回の議論では、価格是正だけでなく、この電力の物流網をいかに効率化するかという全体像が問われているのです。

発電と消費のミスマッチを解消する「大動脈」

太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、どうしても自然条件に左右されます。広大な土地が必要なため、発電所は都市部よりも地方に集中しがちです。例えば、2019年現在、太陽光発電が盛んな東北や九州エリアでは、時期によっては電気が作られすぎて余ってしまう事態が発生しています。これでは、せっかくのエコな電気も「出力制御」といって、捨てざるを得ない状況になりかねません。

そこで重要性が増しているのが、地域を越えて電力を融通するための「連系線(れんけいせん)」です。これは言わば、電力の「大動脈」のようなものですね。エリアをまたいで電気をやり取りできれば、余った電気を足りない地域へ送ることができます。経産省は、この整備にかかる巨額の費用を、全国の大手電力会社で分担する新たな制度案を決めました。これにより、電力会社間の垣根を越えた競争が激化することも予想されますが、私たち消費者にとっては選択肢が増える良いきっかけになるかもしれません。

「空き容量」がない?送電線の不思議な実態

大動脈だけでなく、末端の「毛細血管」にあたる地域の送電線にも、深刻な問題が潜んでいます。ニュースなどで「送電線の空き容量不足」という言葉を聞いたことはありませんか。実はこれ、物理的に電線がいっぱいになっているわけではないケースが多いのです。これまでのルールでは、発電事業者が「将来これだけ送ります」とあらかじめ枠を予約する仕組みになっていました。驚くべきことに、まだ稼働していない、あるいは稼働する見込みの薄い発電所までもが枠を押さえてしまい、後から参入したい事業者が使えないという「場所取り」のような状況が起きていたのです。

FIT導入以降、予想を超えるスピードで再エネが拡大したことで、この制度の歪みが浮き彫りになりました。政府もようやく重い腰を上げ、枠が確保されていても実際には使われていない期間があれば、他の事業者が使えるようにする見直しを進めています。さらに、長期間稼働していない「予約組」の太陽光事業者に対しては、買い取り価格の減額などで撤退を促す荒療治も検討されています。

私自身、インターネットメディアの編集者として多くのエネルギー問題に触れてきましたが、正直なところ「使っていないのに枠だけ確保する」という前時代的な慣習が今までまかり通っていたことには呆れるほかありません。今回の見直しは、既得権益を打破し、本当にやる気のある事業者が参入できる健全な市場を作るための第一歩だと感じています。2019年6月13日というこの日が、日本のエネルギー政策がより合理的でスマートな形へと進化する分水嶺となることを期待せずにはいられません。

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