🚀シャープ再挑戦元年!優先株消却で「負の遺産」と決別:鴻海連携強化と3事業体制再編で描く未来図🚀

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2019年6月13日、経営再建を果たしたシャープが、最後の「負の遺産」との決別を宣言しました。長らく懸案事項となっていた主力取引銀行2行が保有する優先株を、自己資金で買い戻し、すべて消却する予定だと発表したのです。これにより、2016年8月の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収以降、最終黒字への転換、そして東京証券取引所第一部への復帰を果たしてきたシャープにとって、財務面での正常化がさらに進み、「経営再建完了」といえる大きな節目を迎えることになります。

鴻海の戴正呉(たいせいご)会長兼社長は、約1年半ぶりに公式の場に登場し、経営危機から現在の軌跡を振り返り、「事業のトランスフォーメーション(変革)が3年間で達成できたことは自分としてうれしい」と語りました。しかしながら、この華々しい節目にも、手放しでは喜べない状況が見え隠れしています。5月に公表された2020年3月期の連結業績見通しは、2017年に発表した中期経営計画の目標値を大きく下方修正しており、戴社長が掲げてきた「有言実行」が、米中貿易摩擦などの「想定外の事態」に直面し、達成困難となった形です。この事実に対し、インターネット上でも「再建は素晴らしいが、ここからが正念場」「成長戦略が不透明」といった、今後の成長に対する厳しい意見が散見されていました。

こうした課題に対し、シャープは経営体制の抜本的な再編に踏み切ります。従来の4事業体制から、新たに「スマートビジネス(SB)」「8Kエコシステム(8K)」「ICT」の3つの事業体制へと再編するのです。「SB」には、白物家電や半導体事業が組み込まれ、「8K」は、高精細な映像技術である8K技術を活用した液晶テレビやオフィス向け商材を扱う分野です。そして「ICT」には、スマートフォンや、2018年に東芝から買収したパソコン事業が含まれることになります。

鴻海との協業を加速させる新体制

新体制では、戴氏のほか、野村勝明副社長、石田佳久副社長の3人が共同最高経営責任者(CEO)に就任し、それぞれ事業を分担します。戴氏が「8K」、野村氏が「SB」、石田氏が「ICT」を担う構造です。特に注目すべきは、鴻海との協業をさらに加速させることを明確に示す新任の取締役候補の顔ぶれでしょう。鴻海から林忠正氏、陳偉銘氏、ウー・クォ・ファイ氏の3人が新たに推薦されました。彼らは、シャープが成長を目指す分野における鴻海との連携窓口としての役割を担う見通しです。

新任取締役候補のうち、林氏は「8K」を統括します。日本語も堪能で、鴻海では日本のテレビやゲームを担当するEグループの総経理を務めており、シャープと鴻海が共同運営する液晶パネル事業会社・堺ディスプレイプロダクト(SDP)の代表取締役も兼任する人物です。また、ウー氏は、ディスプレー担当として、鴻海の郭台銘(かくたいめい)董事長を補佐するスペシャルアシスタントの肩書も持つ、米アップル出身の幹部です。さらに陳氏は半導体事業を主導し、鴻海の半導体を担当するSグループの副総経理を務めており、鴻海の次期董事長候補とも噂される劉揚偉(りゅうようい)氏の後任として機能することが予想されています。

鴻海との連携強化は、次世代通信規格である「5G」のような今後の目玉事業においても深く進行するでしょう。「5G」とは、「第5世代移動通信システム」の略称で、従来の4Gよりもはるかに高速・大容量で、多数の機器との接続や低遅延な通信を可能にする技術です。石田副社長は、「5Gの特許はシャープ単独で500群(ファミリー)を超え、鴻海と合わせると700群くらいになる」と、その規模の優位性を強調しており、この技術基盤の拡大をテコに、様々な領域での新規ビジネスや商品展開を狙う方針です。

不透明な後継者問題と「戴会長の本気度」

このように、事業再編と鴻海との連携強化で成長への道を模索するシャープですが、戴会長の後継者問題は依然として不透明です。当初は2019年度までとしていた会長職の任期を、事実上延長し、2021年度まで続投する意向を示しました。その理由として、「適正な(社長)候補者が1年前から探しても見つからなかった。21年度までに後継者を育てるか、社外から連れてきたい」と語っています。これは、経営再建の功労者である戴氏でさえ、シャープを次の成長ステージに導く「最適解」をまだ見出せていないということを示唆しており、将来のリーダーシップのあり方が喫緊の課題であることが窺えます。

事業方針説明会では、戴氏が意図的に鴻海側の執行役の顔ぶれを示す資料を会場のディスプレーに映し出す一幕がありました。野村副社長は、その真意を「鴻海とシャープの互いの独立性」であると説明しましたが、これは同時に戴氏自身がシャープの経営に専念する「本気度」を示すメッセージとも受け取れるでしょう。私見ではありますが、シャープの再挑戦は、鴻海の強大なリソースと、戴氏の強力なリーダーシップという「車の両輪」が、いかに事業目標を達成する「有言実行」を果たすかにかかっています。新生シャープが令和元年を成長の再挑戦元年とし、新たな未来を切り拓くことができるのか、戴氏の今後の動向から目が離せません。

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