🔥地方創生とMaaSの未来!配車アプリ新興勢の挑戦と技術で巻き返すソニー・DeNAの戦略とは?

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次世代の移動サービスとして注目を集めるMaaS(マース:Mobility as a Service)において、配車サービスは激しい競争の渦中にあります。特にソフトバンクグループなどの巨大な資本による「囲い込み」が急速に進む中、新たな勢力図を地方から崩そうと挑戦を続ける新興企業が存在します。また、ソニーやディー・エヌ・エー(DeNA)といった大手企業も、それぞれの技術力を武器に巻き返しを図っている状況です。配車アプリはMaaSの中核を担う重要な要素ですが、各社ともいまだ収益化の明確な道筋を描き切れていないのが実情であり、移動サービスという枠を超えた、より大きな事業構想が成功の鍵を握ると言えるでしょう。

新興勢の一つとして注目されているのが、アジット(東京・港)が提供する配車アプリ「CREW(クルー)」です。2019年6月12日、同社は鹿児島県与論町でサービスを開始しました。クルーは、海外でウーバーなどが展開するのと同様に、自家用車を持つ一般のドライバーと移動したい乗客を仲介するシステムです。乗客はアジットに対して1分あたり20円前後の手数料を支払うほか、ドライバーへガソリン代などの実費と、乗客の自由意思による謝礼を渡す仕組みになっています。このシステムにより、本来は違法となる「白タク」扱いを回避し、日本国内でのサービス展開を可能にしているのです。

アジットはこれまで、東京都内の一部地域やタクシーが不足する離島などで実証実験を重ねてきました。今回、本格導入に踏み切った与論島は、夏場を中心に多くの観光客が訪れる人気の島ですが、島内にはわずか8台しかタクシーがありません。バスやレンタル自転車もありますが、早朝の日の出観光など、特定の時間帯での移動ニーズに十分に応えられていないという課題がありました。2018年8月の実験提供で高い評価を得たため、観光客が増加する6月から10月にかけて、約10人の島民がドライバーとして登録し、サービスを提供していく計画とのことで、地域交通インフラの維持という側面からも、非常に意義のある取り組みだと考えられます。

地方の中小タクシー事業者を技術面で支えるスタートアップ企業もあります。徳島市に拠点を置く電脳交通は、タクシー会社のIT武装を支援するシステムを提供している企業です。電脳交通の近藤洋祐社長は、元々徳島市を地盤とするタクシー会社の社長でもあり、経営難で祖父の代で廃業予定だった家業を20代で継いだ経験を持っています。その経験から、地方のタクシー会社が直面する厳しい現実を目の当たりにし、「地方のタクシー会社を交通インフラとしてアップデートする仕組み」の必要性を痛感。2015年に電脳交通を設立されたそうです。

同社が特に着目したのは、小規模な地方のタクシー会社にとって大きな負担となっている配車業務です。電脳交通は、自社の拠点で24時間体制でこの業務を受託する仕組みを構築しました。システムを採用したタクシーにはナビゲーション機能などを搭載したタブレット端末を取り付け、配車の依頼内容を伝達しています。既に四国をはじめとする西日本を中心とした75社、合計2,100台のタクシーに導入されているとのことで、地方のタクシー会社のIT化を支援することで、MaaS時代の黒子役として存在感を高める可能性を秘めていると言えるでしょう。

巨大都市圏を舞台にした技術競争の激化

一方、巨大都市圏である東京・神奈川に絞ってサービスを展開しているのが、ソニー系の配車アプリ「S.RIDE」とDeNAの「MOV(モブ)」です。両陣営とも、対応台数はそれぞれ約1万台に達しており、これは、国内最大手のジャパンタクシーに匹敵する規模を誇ります。この両社の今後の勝負の鍵は、いかに日本人の利用者数を増やせるかという点であり、そのための切り札として「技術力」を重視しています。

S.RIDEとMOVは、AI(人工知能)や各種センサーを組み合わせることで、ドライバー向けに、より精度の高い需要予測や安全運転支援サービスなどを提供する計画です。これに対抗し、ジャパンタクシーも、決済手段の多様化や、経路検索大手のナビタイムジャパン(東京・港)などの外部アプリとの連携を急いでいます。配車サービスの競争は、単なる台数勝負ではなく、高度なテクノロジーを駆使したサービス開発競争へとシフトしていると言えるでしょう。

MaaSの覇権争いと収益化への新たな視点

配車サービスは、鉄道やバスといった既存の公共交通機関がカバーできない移動ニーズに対応する手段として、MaaSには欠かせない存在です。そのため、MaaS時代の主役を狙う異業種との連携が、各サービスの命運を分けることになります。また、配車サービスの利用データは、その地域の移動実態を示す「宝の山」であり、データの利活用を見据えた連携の誘いは後を絶たない状況です。

鉄道会社や通信会社なども巻き込んだMaaSの覇権争いが激しさを増す一方で、多くの企業が、まだ採算の取れる収益モデルを描き切れていないという課題があります。電脳交通の近藤社長は、「MaaSはあくまで移動の手段」であり、成功のためにはまちづくりも含めた広範な構想を描くことが重要だと指摘します。たとえば、車内での動画広告や小売店への送客手数料収入を得るなど、地域全体で一体となって事業化に取り組む姿勢が、今後求められていくでしょう。私見ですが、MaaSは「移動の効率化」に留まらず、「地域経済の活性化」に貢献してこそ、真の成功を収めることができるのではないでしょうか。この視点こそが、日本のMaaSを世界に誇れるレベルに引き上げるカギになるはずです。

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