2019年6月13日午後(日本時間14日未明)、ワシントンで日米両政府による閣僚級の貿易交渉が開催されました。これは、世界経済の動向にも大きく影響を及ぼす、重要な交渉です。日本の茂木敏充経済財政・再生担当大臣は、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との約3時間にわたる協議を終えた後、記者団に対して注目すべき発言をしました。それは、「参院選後に早期に成果を出したいということで一致している」という明確な表明でした。これは、今夏以降の早い時期に具体的な合意を形にするため、実務を担う事務レベルでの話し合いをさらに加速させるという認識を、双方が共有したことを意味しているのです。
この発言は、交渉の節目を示唆するもので、SNSでは早速「参院選を控えて、成果を焦るアメリカ側の要求をどこまで飲むのだろうか?」「日本の農業への影響が心配だ」といった懸念や、「アメリカとの関係強化は重要だが、安易な譲歩は避けてほしい」といった様々な反響が寄せられています。特に、日本における重要政策課題である農業分野や、基幹産業である自動車産業の行方への関心は非常に高いと言えるでしょう。
最大の焦点:自動車と農産品の関税をめぐる攻防
今回の協議で最も大きな論点となっているのは、言うまでもなく自動車と農産品にかかる関税の引き下げです。両国の主張には依然として大きな開きがあり、交渉はまさに綱引きの状態にあると言って差し支えありません。アメリカ側は、2020年の大統領選挙を念頭に、自国が生産する農産品にかかる関税の撤廃など、日本市場の早期かつ大幅な開放を強く求めています。これに対し、ドナルド・トランプ米大統領は、5月27日の日米首脳会談の冒頭でも、「8月に何かを発表できるのではないかと思う」と発言し、早期の決着に対する期待をにじませていました。
一方、日本は、農産品の市場開放については、過去に締結した経済連携協定(EPA)で定めた水準が最大限度である、という立場を堅持しています。EPAとは、特定国や地域との間で、貿易や投資の自由化を進めるための協定のことで、これにより関税の削減・撤廃や、貿易以外の分野でのルール作りが行われるのです。日本はこの既存の枠組みを盾に、これ以上の譲歩は難しいという姿勢を示しています。さらに日本側は、アメリカも日本からの自動車や自動車部品といった工業製品にかかる関税を撤廃すべきであると強く主張しており、これは日本にとって決して譲れない要求と言えるでしょう。
交渉の行方と今後の展望
協議を終えた茂木大臣は、「閣僚レベルで議論を詰めるべき論点がだいぶ明確になった」と述べられていました。これは、具体的な論点が整理されたことで、事務レベルでの作業がより効率的に進む可能性を示していると私は捉えています。しかし、アメリカの大統領選挙というスケジュールが強く意識される中、アメリカ側からの早期の成果を求める圧力は今後も高まることが予想されるでしょう。
日本としては、ただでさえ厳しい農業分野を守りつつ、主力産業である自動車関連への影響を最小限に抑えながら、対等な立場で交渉を進めていく必要があります。この難局を乗り越えるためには、粘り強い交渉と緻密な戦略が不可欠です。参院選後の早期「成果」という目標に向かって、日米両政府がどのように合意点を見出し、どのような形で世界に発表するのか、今後の動きから目が離せない状況が続くでしょう。