国際的な特殊詐欺事件において、警視庁捜査二課は 2019年 6月 14日、タイを拠点として活動していた詐欺グループの男 15名を詐欺の容疑で再逮捕いたしました。このグループは、タイ中部にあるリゾート地パタヤを拠点に、特殊詐欺と呼ばれる犯行を繰り返していたのです。特殊詐欺とは、対面せずに電話やメールなどを用いて不特定多数の人から現金をだまし取る犯罪の総称を指す専門用語です。今回は、長野県上田市に住む女性から、電子ギフト券、いわゆる電子マネー約 18万円相当をだまし取った疑いが持たれています。現場の取りまとめ役と見られる職業不詳の岩本颯容疑者( 23歳)をはじめ、 22歳から 54歳の男性が再逮捕されました。
彼らが用いた手口は、巧妙かつ古典的な手法でした。 2019年 3月下旬頃、このグループはパタヤから日本の女性に対して、「有料サイトの未納金がある」という内容の虚偽のメールを送信しています。このメールをきっかけに驚いた被害者が電話をかけてきたところを狙い、言葉巧みに電子マネーを購入させ、その権利をだまし取ったものと見られています。電子マネーとは、オンライン上で利用できる金券のようなもので、コンビニエンスストアなどで手軽に購入できてしまうため、詐欺の標的となりやすいのです。
このグループによる一連の詐欺被害は甚大で、 2019年 1月から 3月の間に、全国で 80件以上に上ることが警視庁の調べで判明しています。被害総額は少なくとも 7000万円を超えると見積もられています。海外を拠点にすることで、日本の捜査当局からの摘発を逃れられると考えていたのでしょうが、組織的な犯行は必ず国際捜査で追及されます。実際に事件を巡っては、タイ警察が 2019年 3月にこの 15名を拘束し、その後、警視庁が 2019年 5月に日本へと移送して詐欺容疑で逮捕していました。今回は、その際の逮捕容疑とは別件で、さらに悪質な犯行の裏付けが取れたことによる再逮捕となります。
国際的な犯罪組織への厳正な対処とSNSの反響
海外を拠点とする詐欺グループは、その地理的な障壁ゆえに捜査が難航する傾向にありますが、今回の摘発は、日タイ両国の警察による緊密な連携の成果であると言えます。特に、詐欺集団がリゾート地を拠点にしているという点も、その背後にいる組織の国際的な広がりを示唆していると考えられます。このような犯罪行為は、私たち市民の財産を脅かすだけでなく、社会全体の信用を大きく損なう許しがたいものです。警視庁がこれほどまでに広範囲にわたる被害を徹底的に捜査し、犯人グループを日本へ移送して厳正に対処している姿勢は、高く評価されるべきでしょう。
この事件が報道されるやいなや、SNS上では大きな反響が巻き起こりました。「海外からの詐欺は捕まらないと思っていたが、これは朗報だ」「7000万円もの被害額に驚きを隠せない」「有料サイトの未納メールは非常に多く届くので、自分も気をつけたい」といった声が多数見受けられます。中には、「パタヤ=詐欺拠点」といった、タイの特定の地域に対する偏見につながりかねない意見も散見されましたが、多くは、改めて詐欺の手口に対する警戒を強めるべきだという論調です。
私見ですが、巧妙化する特殊詐欺に対抗するには、警察による摘発はもちろんのこと、私たち一人ひとりの防犯意識の向上が不可欠です。特に今回の手口のように、「未納金」を名目とした架空請求詐欺は、電子マネーという手軽な決済手段を悪用している点が非常に悪質と言えます。身に覚えのないメールや電話に対しては、決して焦って対応せず、最寄りの警察署や消費者ホットライン(局番なしの188)に相談することが最善の策でしょう。