2019年6月13日、中東のオマーン湾、特にホルムズ海峡近くの海域で、日本の船舶を含む2隻の石油タンカーが何者かによる攻撃を受け、炎上するという衝撃的な事件が発生いたしました。このホルムズ海峡とは、サウジアラビアをはじめとする中東の主要な産油国から、世界に向けて原油を出荷するための、まさに「海の輸送路」として機能する極めて重要な海上輸送の大動脈です。この大動脈での緊迫した事態は、即座に原油相場に影響を及ぼし、国際的な指標であるニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の価格は、日本時間6月13日の夜の時点で、前日終値に比べて約4%も急上昇し、1バレルあたり53ドル前後で推移しています。これは、中東の不安定な情勢、すなわち地政学的リスクが高まっていることの現れであり、世界経済の先行きに対する強い懸念を高める要因となっていると言えるでしょう。
攻撃の被害に遭ったタンカーのうちの1隻は、国華産業(東京・千代田)が運航するパナマ船籍の「コクカ・クーレジャス」という船でございます。この国華産業は、三菱ガス化学が50%を出資している海運会社であり、当時、船はメタノールを輸送していました。同社が6月13日夕方に都内で開いた記者会見によりますと、「砲撃を受けた」との認識を示しています。幸いにも、この船舶には日本人の乗組員はおらず、フィリピン国籍の21名の船員は全員無事に避難できたということです。現時点では、国土交通省も攻撃者が誰なのか、そして今回の攻撃が日本を特定の標的にしたものかどうかは確認できていない状況です。もう1隻はマーシャル諸島船籍の「フロント・アルテア」であり、同じく被害を受けているのです。
今回の事件が発生した海域は、実は5月にもアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアのタンカーが「破壊行為」によって損傷を負うという事件が起きたばかりで、もともと緊張が高まっていました。当時、アメリカのボルトン大統領補佐官は攻撃の主体は「ほぼ確実にイランだ」と断定的に指摘しましたが、イラン側はこれへの関与を一貫して否定しており、地域の緊張は極めて高まっていたのです。さらに、アメリカのトランプ政権はイランからの脅威が強まっているとして、すでに原子力空母や戦略爆撃機といった戦力をペルシャ湾付近に派遣しており、周辺海域では偶発的な衝突が発生するリスクが常にくすぶっている状況だと申し上げられます。
日本の重要外交の最中に発生した攻撃の意味
特に注目すべき点は、このタンカーへの攻撃が、日本の安倍晋三首相が中東の緊張を緩和しようとイランを訪問し、最高指導者であるハメネイ師と会談を行っている最中という、まさに極めて重要なタイミングで起きてしまったことです。この事態を受け、首相は関係省庁に対し、情報収集の徹底と乗組員の安全確保に万全を期すよう指示を出しています。資源をほとんど持たない我が国・日本は、原油のおよそ8割から9割を中東地域に依存しており、ホルムズ海峡を経由する海上輸送は、日本の経済活動にとって文字通り生命線であると言っても過言ではありません。この重要なシーレーン(海の道)が脅かされることは、日本のエネルギー安全保障、そして経済全体にとって非常に大きな不安材料となるでしょう。
この海域で再びタンカーが攻撃されたというニュースは、当然ながらSNS上でも大きな反響を呼んでいます。多くのユーザーが「原油価格の上昇は生活に直結する」「また中東情勢が不安定化するのか」といった経済的な影響への懸念や、「日本の船が狙われたのは偶然なのか」という事件の背景に対する憶測を投稿しています。また、「安倍首相のイラン訪問を狙ったかのようなタイミングが不気味だ」といった、国際政治的な意図を読み取ろうとする意見も散見されます。この事件は、アメリカとイランの対立という背景だけでなく、世界の原油供給における中東の地政学的重要性を改めて浮き彫りにした出来事として、多くの人々がその成り行きを固唾をのんで見守っている状態です。
私自身の見解といたしましては、今回の攻撃は、単なる船舶への損傷事件としてではなく、世界の石油供給に決定的な影響を与えるホルムズ海峡の安全保障に対する、国際社会への極めて強いメッセージとして受け止めるべきだと考えます。この緊張状態の根本にあるのは、アメリカによるイランへの経済制裁と、それに対するイランの反発という構図でしょう。国際社会、特に日本を含む資源消費国は、この地域での緊張緩和に向けて、外交努力を最大限に傾注する義務があると言えるはずです。アメリカは国連安全保障理事会の会合でタンカー攻撃を議題として取り上げる提案をする模様であり、国際的な議論を通じて、事態の沈静化と、海上交通の安全確保に向けた具体的な行動が強く求められています。