【原油市場の行方】「拡大OPEC」が世界を動かす? ロシアと歩むOPECの長期戦略に迫る

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世界の原油市場の安定に向け、非常に大きな動きが明らかになりました。石油輸出国機構(OPEC)とロシアをはじめとする非加盟の主要産油国が、原油の協調減産を話し合う枠組みである「OPECプラス」を、長期的な協力関係を定めた恒常的な協議の場として確立する見通しとなったのです。2019年6月14日の日本経済新聞の報道によりますと、ロシアのノワク・エネルギー相が記者に対し、この方針を明らかにしています。これは、世界の原油生産量の約6割を占める参加国が、原油価格の安定化を目指し、より強固な協力体制を構築する歴史的な転換点となるでしょう。

OPECと非加盟国は、当初2019年6月25日と26日に予定されていた総会とOPECプラスの会合を、7月初旬に延期し、この長期的な協力の枠組みを定める「憲章」に仮調印する方向で最終的な調整を進めているとのことです。この協力関係が生まれた背景には、2017年1月に協調減産を開始した実績があります。この協調減産により、それまで1バレルあたり50ドル台前半だった米原油先物価格の指標が、2018年には一時70ドル台前半まで回復するなど、価格の急激な変動を抑える上でOPECプラスの協議が効果的であると判断されたからです。この成功体験こそが、今回の恒常化への動きを後押ししているといえるでしょう。

シェール革命で揺らぐOPECの影響力、ロシアとの協調で回復へ

調整が進む憲章案では、OPECプラスを長期的な協議の枠組みとして明確に規定し、会合の形式や定期開催の頻度などを明記する見込みです。ただし、参加国に強い拘束力を持たせる機関ではなく、あくまで「緩やかな協力の枠組み」が想定されているようです。この協力は、世界経済の動向、特に米中間の貿易摩擦や、米国のイランに対する経済制裁といった、原油市場における数多くの波乱要因を慎重に分析した上で、今後も協調減産を継続すべきかどうかの判断を下すために必要不可欠であると考えられます。

OPECは1960年にサウジアラビアなど中東の産油国を中心に設立され、長きにわたり石油の生産量や価格を調整し、その影響力を維持してきました。しかし、近年では、非加盟国である米国が「シェールオイル」と呼ばれる新しい技術で採掘される原油の生産を大幅に増やし、2018年には世界最大の産油国に躍り出ました。この「シェール革命」により、OPECが単独で原油価格をコントロールする力、すなわち「価格支配力」の低下が顕著になっていました。この影響力の低下を食い止め、原油市場に対する影響力を回復させるため、ロシアをはじめとする非加盟国と連携し、OPECプラスを恒常的な枠組みとすることが、OPECの喫緊の課題となっているのです。

このOPECプラスの恒常化というニュースは、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。「いよいよOPECが本格的に『拡大』するのか」「ロシアとの協調で価格安定に期待したい」といった声が聞かれ、原油市場の新たなパワーバランスに対する関心の高さがうかがえます。一方で、「シェールオイルの増産ペースを止められるのか」といった慎重な意見もあり、今後の動向を注意深く見守る必要があるでしょう。私見ではありますが、OPECが自らの価格支配力の低下という危機感をバネに、非加盟国との連携を強化し、枠組みを再構築しようとするこの試みは、変化するエネルギー情勢の中で生き残りをかける賢明な戦略であると評価できます。

なお、これらの協議は、2019年6月末に大阪で開催される主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)後の情勢を慎重に見極めた上で、開催される見通しです。この新たな枠組みが、世界経済の安定にどのような影響をもたらすのか、今後の展開から目が離せません。産油国と消費国双方にとって、予測可能な原油価格は重要であり、この「拡大OPEC」の誕生は、長期的なエネルギー戦略を考える上で、非常に重要な鍵を握ることになるでしょう。

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