2019年4月における大規模小売店舗立地法(通称:大店立地法)に基づく新規店舗の届出件数が発表されました。この「大店立地法」とは、店舗面積1,000平方メートルを超える大規模な小売店舗を新設・変更する際に、交通渋滞や騒音などの地域住民の生活環境に配慮するための手続きを定めた法律のことです。2019年4月の新設届出件数は全国で42件を数え、これは前年同月と比べて2件の減少となりましたが、小売業界の新たな動きを読み解く上で非常に注目すべき結果といえるでしょう。
特に業種別の内訳を見ると、その勢いが際立っているのはドラッグストアです。新設届出件数は12件と全体の中で最多を記録しました。これに続くのが食品スーパーで11件となっております。さらに、各種専門大店、ディスカウントストア、そしてホームセンターがそれぞれ4件ずつと横並びの状況でした。このデータからは、日用品や医薬品、食料品といった生活必需品を取り扱う店舗が、消費者の日常に深く根差し、積極的な出店戦略をとっていることが鮮明に見て取れます。
このドラッグストアの快進撃は、単なる店舗数の増加以上の意味を持っています。薬だけでなく、化粧品、日用品、さらには生鮮食品まで扱う「近隣型の生活コンビニエンスストア」へと進化しているのが近年の傾向です。これにより、消費者は利便性の高い場所で様々な買い物を一箇所で済ませられるようになり、この多角化戦略が、小売市場におけるドラッグストアの存在感をますます高めていると分析できるでしょう。SNSでも「最近、どこに行っても新しいドラッグストアを見かける」「食料品も安くて便利だからよく利用する」といった声が多く見られ、その出店が消費者にとって歓迎されている様子がうかがえます。
地域別で最も届出件数が多かったのは静岡県で5件でした。次いで、東京都と大阪府がそれぞれ4件と続きました。これらの地域における積極的な出店動向は、都市部だけでなく、地方においても利便性の高い大規模小売店舗への需要が高まっていることを示唆しています。また、総店舗面積が7,000平方メートルを超える特に大きな大型店の届出も4件確認されました。これは、小売事業者が依然として広い商圏を対象とした大型開発に意欲を示している証拠といえるでしょう。
具体的な大型店を見てみますと、最も店舗面積が大きいのは、2020年11月に開業が予定されている「松原天美ショッピングセンター」(大阪府松原市)で、その面積はなんと3万4千平方メートルにも及びます。また、同年12月の開業を目指している「ビバモール東水巻」(福岡県水巻町)も1万3,184平方メートルという広大な敷地を誇ります。これらの巨大な商業施設は、地域経済に大きな雇用と消費の機会をもたらすとともに、周辺の交通や環境にどのような影響を与えるのか、地域住民の期待と関心を集めています。消費者のニーズが多様化し、EC(電子商取引)の存在感が増す中でも、リアル店舗ならではの体験や利便性を提供できる大規模なショッピングセンターの役割は、今後も重要であり続けるでしょう。